注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状について:不注意、多動性、衝動性
ADHDの症状は不注意、多動性、衝動性に関連するものに分けることができます。このページでは子どもの時、大人の時に見られやすい症状の特徴や、ADHDが気になる人にお勧めのセルフチェックについて紹介しています。
1. 注意欠陥・多動性障害(ADHD)の症状
ADHDの症状は以下の3つに分けることができます。
- 不注意:注意をとどめておくことが難しい
- 多動性:いろいろなことをしてしまう
- 衝動性:衝動を我慢できない
年齢によって目立つ症状が違うので、以下では子どもと大人にわけて、具体的な症状を説明していきます。
2. 子どものADHDの症状
子どもの時に見られるADHDの症状には以下のようなものあります。
- 不注意の症状
- 細かな注意ができずミスが多い
- 何かを続けるのが困難、すぐに飽きる
- 忘れ物やものをなくすことが多い
- 親や先生と約束したことが守れない
- 他のことに気をとられて話を聞けない
- 多動性の症状
- 授業中にも関わらず動き回る
- 突然走り出したり、机にのぼったりする
- じっとできず、常に動いている
- 早口でしゃべり続ける
- 道路に飛び出す
- 衝動性の症状
- 深く考えずに危険な行動をしてしまう
- 人が話し終わるのを待てずに話し出してしまう
- 突然怒り出す
集中が続かなかったり、落ち着きがないといったことは、子どもであれば、大なり小なり見られるものです。また、環境の変化などの影響で一時的に当てはまるものが多くみられることもあります。ただし、それらの症状が日常生活に困難をきたしたり、周囲に迷惑をかけるほどのものであれば、ADHDの可能性があります。心当たりのある人は、お医者さんに相談してみください。
3. 子どものADHDのセルフチェック
もし自分のお子さんがADHDではないかと気になる人は以下のチェックリストを活用するのも一つです。このチェックリストは不注意に関する質問と、多動性・衝動性に関する質問に分かれており、それぞれ9つずつの質問があります。もし、どちらか一方でも、9つのうち6つ以上に該当する場合はADHDの可能性があります。
- 不注意に関する質問
- 集中力が続かなくミスが多い
- 何かを続けることが苦手である
- 直接話しかけられているのに、話の中身が入ってきていない
- 先生や親の指示に従うことができない
- 順序立てて行う作業が嫌い
- 宿題が苦手である
- 必要な物をすぐなくしてしまう
- 気が散りやすい
- 忘れっぽい
- 多動性・衝動性に関する質問
- 手足をそわそわ動かしたり、座っていてももじもじしている
- 座っていなければいけない時に席を離れてしまう
- じっとしていなければいけない時に、走り回ったり、よじ登ったりする
- 静かに遊ぶことができない
- 何かに駆り立てられる感じで、じっとしてられない
- しゃべすぎることが多い
- 質問が終わる前に答えてしまう
- 順番を待ていない
- 他人のじゃまをする
実際にADHDを診断する時もこのチェックリストと似たリストを使って行われます。もし、チェックリストに引っかかる場合、他の病気との見極めを行い、ADHDの診断が進められます。
参考:CDC:Symptoms and Diagnosis of ADHD(2021.3.15閲覧)
4. 大人のADHDの症状
ADHDの症状は大人になっても続くことが多いです。ただ、大人になると子どもの時とは生活の様式が異なるので、実際に見られる症状も異なります。また子どもの時は問題が顕在化せず、大人になって仕事などの社会的責任の増加、両親からの独立をきっかけにADHDであることが判明するケースもあります。以下に大人のADHDの症状の例を紹介します。
【ADHDの症状の例】
- 仕事にミスが多い
- 計画通りに仕事ができない
- 仕事中じっとしていられない
- 自分の能力を超えていろいろな仕事に手を出してしまう
- 頻回な転職
- 思ったことを口にすぐ出してしまい、コミュニーケーションがうまくとれない
- 家事の段取りをうまく組めない
- 大事な約束の時間を守ることができない
ADHDの人は注意力が続かなかったり、コミュニケーションがうまくできず、仕事や家事で失敗が続いてしまう場合があります。治療によって症状を軽減することができますし、社会に適応する方法を身につけ、問題なく生活できるように成長する場合もあります。詳しくは「治療について」のページ紹介します。
5. 大人のADHDのセルフチェック
大人の人でADHDが気になる人は以下のチェックリストを活用してみてください。
【大人のADHDのセルフチェック】
- 難所は乗り越えたのに、詰めが甘くて仕上げるのが困難だったことが時々ある。
- 作業を順序だてるのが困難だったことが時々ある。
- 約束や、しなければならない用事を忘れることが、時々ある。
- じっくりと考える必要のある課題に取り掛かるのを避けたり、遅らせたりすることが頻繁にある。
- 長時間座っていなければならない時に手足をそわそわと動かしたり、 もぞもぞしたりすることが頻繁にある。
- 何かに駆り立てられるかのように過度に活動的になったり、何かせずにいられなくなることが頻繁にある。
参考:WHO, 成人期のADHD作業グループ:Adult ADHD Self Report Scale (ASRS v1)Symptoms Checklist from WHO Composite International Diagnostic Interview
これら6つの質問のうち4つ以上該当する場合は、ADHDの可能性があります。該当する人はお医者さんと相談してみることをお勧めします。