ちゅういけっかんたどうせいしょうがい
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
集中力が続かない、うろうろ動きまわる、いきなりカッとなるなどの症状が特徴の病気。男の子に多い
17人の医師がチェック 198回の改訂 最終更新: 2023.01.17

注意欠陥・多動性障害(ADHD)の検査について:問診、知能検査、心理検査

ADHDは注意力がなかったり、落ち着きがなかったり、何かの衝動にかられたりする病気です。問診からADHDを疑う症状があるかが特に重要です。他の病気と区別するために知能検査や心理検査が行われることがあります。

1. 問診

問診は医師の質問に答える形でご自身やお子さんの状態を伝えることをいいます。その時のご自身、お子さんの情報だけでなく、医療機関を受診するまでの経緯なども非常に重要です。ADHDに関するものとしては、例えば、以下のことを質問されます。

  • 座ってなければいけない時に、そわそわしたり、席を離れてしまうことはないか
  • 親から離れて好きなところに行ってしまい、迷子になることが多くないか
  • ミスが多いと感じることはないか
  • 大切なものを置き忘れてしまったり、無くしてしまうことはないか
  • 気が散りやすい性格ではないか
  • 大事な話にも関わらず、話が頭に入ってこないことはないか

またADHDと他の病気を区別する上で、以下のことを質問されることがあります。

  • 他の子よりも運動や言葉に遅れがなかったか
  • 極端な偏食やこだわりがないか
  • 周りの音が異常に気になることはないか
  • 友達をうまく作れないということはなかったか
  • 一人遊びが多くなかったか

家族の病気や、持病、アレルギーについても聞かれます。ADHDに特化した血液検査や画像検査はあるわけではないので、ADHDを疑わせる病歴があるかが最も重要です。

2. 身体診察

身体診察では診察を通して異常がないかを評価していきます。ただし、ADHDが疑われる時に行われる診察は必ずしも聴診器を用いるようなものではなく、様子や行動、発達に遅れがないかを中心に評価していきます。具体的な身体診察としては以下の項目があります。

  • 診察室での様子(異常に落ち着きがなければADHDを疑う)
  • 筋力、筋肉の張りに問題がないか(筋緊張)
  • 運動機能に問題がないか(年齢相応の運動ができるか)
  • 神経学的な評価(身体の異常な動きはないか)
  • 言語能力に問題がないか(言葉のやりとりに異常がないか)

問診や身体診察によりADHDであるかの予測が立ちます。ただし、ADHDと似た症状を起こす他の病気もあるので、それらとの見極めが重要です。

3. ADHD以外の病気との見極めのための検査

注意力の低下、落ち着きのなさは他の病気の症状として現れることもあります。具体的に見極めが必要な病気の代表例には以下の通りです。

【ADHDと見極めが必要な病気の代表例】

これらの病気はADHDの治療薬に効果がなかったり、他の薬が必要になるため、見極めが重要です。

これらの病気の可能性について調べるために、知能検査や心理検査が用いられることがあります。以下で説明していきます。

知能検査

知能検査は知能を測定するための検査です。知能指数(IQ)によって結果を解釈します。例えば、自閉スペクトラム症の人は、知能指数が極端に低かったり、高かったりするという特徴があります。

心理検査

うつ病双極性障害などの見極めが必要な場合には心理検査が行われることがあります。ただし、ADHDとうつ病双極性障害などが同時に起こることもあるので、他の病気によりADHDのような症状を呈しているのか、同時に起きているのかは慎重に見極める必要があります。