もうまくはくり
網膜剥離
眼球の内側に張り付いている網膜が剥がれてしまった状態。ものの見え方に異常(視野が欠ける、ものが歪んで見えるなど)がでたり、ひどい場合は失明してしまうこともある
5人の医師がチェック 150回の改訂 最終更新: 2021.03.31

網膜剥離に対して行われる検査について

視力が低下したり、ものの見え方が変化したりして受診した場合、原因が何か調べる検査が行われます。主な検査は問診視力検査眼底検査です。眼底検査の結果、網膜剥離と診断された人は追加の検査が行われることがあります。ここでは網膜剥離に行われる検査について詳しく説明します。

1. 問診

問診では症状について詳しく聞かれたり、治療に必要な身体の情報を聞かれます。

【症状についての問診】

  • どのような症状があるのか
  • 症状がいつから起きているか
  • きっかけとなった事柄があるのか

困っている症状について詳しく答えてください。網膜剥離では眼をぶつけるなどのケガも原因になりますので、思い当たるエピソードがあれば教えてください。

【身体の状態についての問診】

  • 薬物アレルギーがあるか
  • 今まで手術をしたことがあるか
  • 治療中の病気があるか
  • 使用中の薬があるか
  • 妊娠中かどうか

診断や治療に必要な情報について聞かれます。この中で特に重要な点について説明します。

薬物アレルギーがあるか

薬物アレルギーとは何らかの薬でじんましんや吐き気、頭痛などのアレルギー症状を起こすことです。網膜剥離の手術では麻酔を使うので、麻酔薬のアレルギーの有無は重要です。麻酔薬は歯科治療で使用するものと同じ薬を使うので、以前に歯科麻酔で気分不快やじんましんなどのアレルギー症状が起きた人は必ず伝えてください。

◎今まで手術をしたことがあるか

眼科以外の病気の手術を伝えることはもちろん、眼科の手術を受けたことがある人は伝えてください。網膜剥離は白内障などの手術後にも起こることがあります。

◎治療中の病気があるか

網膜剥離が起きやすくなる病気に糖尿病高血圧症があります。このような病気で網膜剥離が起きている人は、網膜剥離を治すだけでなく、要因となっている病気もあわせて治療をする必要があります。どのような治療を受けているかなどを含めて伝えてください。

2. 視力検査

網膜剥離ではさまざまな程度の視力低下が起きます。視力低下の程度を調べるために視力検査が行われます。乱視の有無や程度も合わせて調べられます。

3. 眼底検査

眼底検査は網膜剥離の診断にもっとも重要です。網膜は眼の奥にあるので外から見ただけでは診断はできません。眼底検査では眼底鏡と呼ばれる機械を使って、瞳孔から光を入れて眼の奥を観察します。

この検査では網膜がよく見えるようにするため、瞳孔を開く特殊な目薬を使用します。この目薬を使用すると、いつもより眩しく感じ、ピントが合いづらくなります。目薬をして十分に瞳孔が開くまで、30分程度の時間をおいてから検査が行われます。検査後も目薬の効果は数時間続くので、自動車や自転車の運転はできません。そのため、医療機関に受診する際には自分で運転をしての受診は控えてください。

4. 超音波検査

網膜剥離の診断は眼底検査で行われることがほとんどですが、目の中で出血が起きている人では、奥にある網膜を十分に観察することができません。その場合には超音波検査が行われます。

超音波検査は観察したい部分にゼリーや角膜を保護する薬をのせて、プローブと呼ばれる機械をあてて深部を観察します。網膜剥離の検査では、眼を閉じてまぶたの上からプローブを当てることがほとんどです。

5. 視野検査

視野検査は全員に行われる検査ではなく、必要だと判断された人のみ行われます。網膜剥離に伴う視野欠損の場所や大きさを調べるために、まっすぐ前をみている状態で上下左右の見えている範囲を調べます。具体的には、検査は片目ずつ行い、視野に光る指標が見えたらボタンを押すように指示されます。