[医師監修・作成]脳梗塞の種類や原因、発症メカニズムについて:アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞 | MEDLEY(メドレー)
のうこうそく
脳梗塞
脳の血管が詰まって結果、酸素や栄養が行き届かなくなり、脳細胞が壊死すること。運動・感覚の麻痺などを起こし、後遺症による寝たきりや死亡にもつながる
21人の医師がチェック 402回の改訂 最終更新: 2022.01.24

脳梗塞の種類や原因、発症メカニズムについて:アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞

脳梗塞の主な種類は3つあり、それはアテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞です。それぞれで原因が異なります。

 

1. 脳梗塞とは?

脳梗塞とは、脳の血管が詰まるなどして、脳への血流が悪くなり、脳細胞がダメージを受ける病気です。脳の細胞は一度死んでしまうと、再生することはないので、麻痺(まひ)や喋りづらさなどが後遺症として残ります。 
脳梗塞は主に3つの種類に分けられます。

【脳梗塞の種類】

  • アテローム血栓性脳梗塞動脈硬化による脳の動脈の狭窄や血栓が原因で起こる脳梗塞
  • 心原性脳塞栓症:心臓にできた血栓が脳の血管に詰まることが原因で起こる脳梗塞
  • ラクナ梗塞:0.5mm以下の細い血管が詰まることが原因で起こる脳梗塞

このページでは3種類の脳梗塞について、詳しく説明していきます。

2. 脳梗塞の発症メカニズムについて

脳梗塞には主な種類として3つありますが、それぞれで発症のメカニズムが異なります。

アテローム血栓性脳梗塞の発症のメカニズムについて

アテローム血栓性脳梗塞は脳の太めの血管(内頚動脈や中大脳動脈)に動脈硬化が進むことで、発症します。動脈硬化とは血管の壁が厚く固くなった状態で、血管の中が狭くなります。狭くなった血管では血流が悪くなるので、血管内で血液の塊(血栓)ができやすくなります。血栓ができると、できた部分より先の血流を悪くしますし、血栓が剥がれて先の血管を詰めてしまうこともあります。

心原性脳塞栓症の発症のメカニズムについて

心原性脳塞栓症(心原性脳梗塞ということもある)は重症度が高くなりやすいと考えられています。手足の麻痺や、言語障害の程度も重く、後遺症も残りやすいと考えられています。
心原性脳塞栓症では、心臓で出来た血栓が剥がれて、血流に乗って脳の血管に到達して、血管を詰まられます。心臓でできる血栓は大きいことがあるので、太い血管を塞いでしまうことがあります。太い血管が詰まった場合には、後遺症が重くなることが多いです。
心臓に血栓が出来る理由には、不整脈心筋梗塞心臓弁膜症などいくつかあるのですが、中でも心房細動という不整脈が原因となることが多いです。

ラクナ梗塞の発症のメカニズムについて

ラクナ梗塞は、他の脳梗塞の種類に比べると詰まる血管のサイズが小さいので、比較的重症度や死亡率が低いことが知られています。ダメージを受ける脳細胞の範囲が狭いので、脳の重要な場所から外れていた場合は、無症状であることもあります。たまたま撮った脳のMRIで、症状がないラクナ梗塞の跡がたくさん見つかることも珍しくはありません。
これが「隠れ脳梗塞」と呼ばれることもあります
詳しくは「隠れ脳梗塞と多発性脳梗塞とは?チェックリストで症状を確認」で説明していますのでご覧ください。

3. アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症・ラクナ梗塞の重症度の違いについて

アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳塞栓症、ラクナ梗塞の違いは前述の通り、発症するメカニズムが異なるのですが、死亡率(一定の期間で死亡する人の割合)にも違いがあります。

研究論文「脳梗塞の種類と死亡率について」(英語)によると、発症してから1ヶ月以内の死亡率を脳梗塞の種類別に比較すると、次のようになります。


【発症1ヶ月後の死亡】

  • ラクナ梗塞が2%
  • アテローム血栓性脳梗塞が10%
  • 心原性脳塞栓症が23%

ラクナ梗塞の死亡率がもっとも低く、心原性脳塞栓症の死亡率がもっとも高いという結果でした。
脳梗塞の原因がある程度わかっており、完全ではありませんが、ある程度の予防も可能です。予防のためには、脳梗塞に関係する病気や生活習慣を知ることが鍵になります。
それでは次に、脳梗塞の原因となりうる要因について説明していきます。

脳梗塞の原因となる喫煙

4. 脳梗塞の原因となりうる病気や生活習慣とは?

脳梗塞の原因として、長年かけて進行した動脈硬化によることが知られています。特に、アテローム血栓性脳梗塞・ラクナ梗塞と、動脈硬化には密接な関係があります。
動脈硬化を進める病気や生活習慣としては以下のものが知られています。

【動脈硬化を進める病気や生活習慣】

これらの要因は、治療によって改善できる可能性があるものです。脳梗塞の原因となりうることを考えれば、日頃の生活習慣を改めることもひとつの選択肢として考える必要があります。

また、心原性脳塞栓症では次のような心臓の病気が関係しています。

【心原性脳塞栓症と関係がある心臓の病気】

上記に当てはまるものがある人は、持病をきちんと治療することで、脳梗塞発症の可能性を下げることができるかもしれません。
一方で、治療によって改善できない要因としては、次のものがあります。 

  • 高齢 
  • 男性
  • 家族に脳卒中の人がいること

これら3つの要因のうち、2つ以上があてはまる人は脳卒中の危険性が上がるので、ない人に比べると、脳梗塞の予防にはより注意を払う必要があります。具体的には、脳梗塞の可能性を高める病気を治療したり、生活習慣を正すことです。

具体的には、高血圧、糖尿病脂質異常症の予防や改善には、食生活や、禁煙、運動習慣の見直しが有効です。また、必要に応じて薬による治療も行われます。
なお、高血圧、糖尿病脂質異常症の薬に関して、詳しくは「脳梗塞の再発を予防する薬」で説明していますので、参考にしてください。