膝が痛い、腫れ(数日以内)の基礎知識
概要
急な膝の痛みの原因は、怪我によるものとそうではないものに大きく分けられます。膝の怪我でしばしば起こるのが膝靭帯損傷、半月板損傷、筋断裂などです。怪我以外の原因としては、化膿性関節炎や蜂窩織炎といった
膝の痛みや腫れが急に出てきた人はなるべく早く受診をしてください。
整形外科への受診が適していますが、もし整形外科が近くになければ内科を受診して鎮痛薬などで応急的な対応をしてもらってください。
原因とメカニズム
膝関節は靭帯や半月板、筋肉、骨などによって構成されます。膝関節を構成するものが傷つくと膝に痛みや腫れが生じます。原因は怪我や感染症などさまざまです。
考えられる病気
急な膝の痛みや腫れの主な原因は次の通りです。
膝靭帯損傷
膝関節には、前十字靭帯・後十字靭帯・内側側副靱帯・外側側副靭帯という太い靭帯が4本あります。これらの靭帯が損傷すると、膝関節が腫れたり痛んだりします。膝靭帯損傷はスポーツ外傷によって起こることが多いのですが、日常生活の中でも生じることがあります。
半月板損傷
半月板は膝関節を構成するものの一つで、クッションの役割を果たしています。半月板に傷がついた状態が半月板損傷です。膝が痛んだり腫れたりします。半月板損傷も膝靭帯損傷と同様に、スポーツでの怪我で発生することが多いのですが、階段の踏み外しや、転落など日常生活で起こることもあります。
変形性膝関節症
変形性膝関節症は膝の骨を覆う
筋断裂
筋断裂とは肉離れのことです。膝周囲の筋肉が断裂した場合、膝に痛みや腫れなどの症状が現れます。
偽痛風
関節でピロリン酸カルシウムという物質が結晶化することで
蜂窩織炎
蜂窩織という皮膚の一部分に生じる感染症です。
化膿性関節炎
怖い病気
蜂窩織炎や化膿性関節炎といった感染症は全身に広がっていく可能性があり、敗血症という危険な状態になることが懸念されます。感染症の可能性がある人はなるべく早く受診をしてください。怪我による膝の腫れや痛みには命の危険はありませんが、その後の治りをよくするためにも速やかに受診をしたほうが望ましいです。
受診の目安
急に膝に痛みや腫れが現れた場合、治療が必要な可能性が高いのでなるべく早く受診したほうが望ましいです。特に、発熱をともなう人や、日常生活に支障が出るほど関節の動きが落ちている人は急いで受診してください。
診療科
整形外科であれば、膝のさまざまな怪我や病気に対応できるので、近くにあれば受診してください。クリニックでも病院でもどちらでも構いません。近くに整形外科がない人は内科でも応急的な対応はできることがあるので、相談してみてください。
検査
膝の痛みや腫れなどの症状がある人には次のような診察や検査が行われます。
診察
お医者さんが患者さんから話を聞いて状況を確認したり、膝を曲げ伸ばしをしたりすることで、膝の状態を確認します。
レントゲン検査
MRI検査
磁気を使った検査方法です。骨だけではなく、靭帯や半月板の状態も調べることができます。
血液検査
血液成分を分析する検査です。炎症の有無および程度や全身状態を把握することができます。
関節液検査
関節液に溜まった液体を抜き出し、その成分を分析する検査です。感染の有無や感染を起こしている細菌の種類などを知ることができます。また、関節液を抜き出すことによって症状が緩和されることもあります。
治療
治療法は原因によって異なります。膝靭帯や半月板の損傷では手術が検討されますし、化膿性関節炎や蜂窩織炎といった感染症では抗菌薬による治療が行われます。また、どのような原因であってもリハビリテーションによって機能回復が早められる可能性があります。
セルフケア
急な膝の痛みや腫れでは膝関節に激しい炎症が起こっている可能性が高いです。炎症による症状を緩和するためには膝を冷やし安静にすることが必要です。また、鎮痛剤を使って痛みを上手にコントロールすることも重要だと考えられます。