背中が痛い(数日以内)の基礎知識
概要
数日単位の背中の痛みは、筋肉や骨などの軽微な異常からきていることが多く、大抵はあまり問題になりません。そのような際には、ストレッチしたり安静にしている程度で改善が期待できます。
一方で、あるとき突然痛くなった、胸や首も痛い、冷や汗をかいている、じっとしていても痛い、手足が動かしにくい、尿が出ない、呼吸が苦しい、などの症状がある人は危険な病気の可能性があります。
背中の痛みを専門的に診ることが多いのは整形外科です。一方で、上記のような危険な症状がある人は、急性大動脈解離や心筋梗塞の可能性もあるため、循環器内科や救急科を速やかに受診してください。
原因とメカニズム
背中の痛みを引き起こす部位は多くあります。皮膚、
考えられる病気
必要に応じて
肋間神経痛
肋骨に沿って走る神経に由来した痛みです。左右片側だけが痛むことが多いです。
帯状疱疹
皮膚に赤い斑点や
脊椎圧迫骨折
尻餅をついた後などに背骨が潰れてしまって起きることが多いです。折れている部位を叩くと強い痛みがあります。
尿路結石
腎臓から膀胱へとつながる尿の通り道(
腎盂腎炎
腎臓に菌が感染してしまった状態です。感染した側の背中を押すと痛い、38度以上の発熱がある、などが特徴的な症状です。膀胱炎から波及することも多いので、膀胱炎を繰り返している人は要注意です。
怖い病気
急性大動脈解離
突然背中に激痛が走った人は、大動脈解離の可能性があります。血圧や
急性心筋梗塞
急性大動脈解離と同様に、心臓やその周囲の重要な血管に関わるトラブルが原因となります。急な胸の痛みが特徴的です。血圧やコレステロールが高い、糖尿病がある、喫煙歴がある、など当てはまる人は特に危険性が高いです。痛みが強くて冷や汗が出るような人は、すぐに救急車を呼んでください。
気胸
肺が破れて空気漏れを起こした状態です。喫煙歴がある人や、もともと肺の病気を指摘されている人では特に注意が必要です。急な胸・背中の痛みと息苦しさが特徴的な症状です。
急性膵炎
背中の臓器である膵臓が急に
受診の目安
・突然痛くなった
・耐え難い激痛
・冷や汗が出ている
・赤くなって水泡が出ている
・背骨を軽く叩くとひびく
・発熱している
診療科
整形外科
背中の痛みの多くは筋肉や骨が原因となります。したがって、それらの専門家である整形外科が背中の痛みの診療には最も慣れています。ただし、危険な病気として挙げられるような原因の多くは循環器内科をはじめとした内科医や救急医が得意としている病気です。したがって、急激な痛み、激痛、発熱などがある人は整形外科よりも循環器内科や救急科が適しています。
循環器内科
背中の痛みの原因として多くはありませんが、特に怖いのは急性大動脈解離をはじめとした心臓・血管系のトラブルです。高齢、高血圧、高コレステロール、喫煙、糖尿病、などはこうした心臓・血管系トラブルを起こしやす人の特徴です。こうした人が急激な、あるいは極めて強い背中の痛みを自覚した際は、整形外科よりも循環器内科の受診が望ましいです
救急科
急激な、あるいは極めて強い痛みがある人は、翌平日まで待てない危険な状態の可能性があります。そのような人は、救急要請することも念頭に、救急科などを直ちに受診してください。
検査
心電図検査
心筋梗塞などの心臓のトラブルを手軽にチェックすることができます。
血液検査
体の炎症の度合いや膵臓の機能をみることで、腎盂腎炎や膵炎の診断の役に立ちます。
尿検査
レントゲン(X線)検査
肺の様子などを手軽にチェックすることができます。
胸腹部CT検査
大動脈解離、膵炎、尿路結石、腎盂腎炎など胸やお腹の病気の診断の役に立ちます。
脊椎MRI検査
脊椎圧迫骨折や変形性
治療
原因に応じて治療が行われます。特に危険な病気がなさそうな人では、痛み止めを使用して様子をみることが一般的です。
セルフケア
診断がわからない状態でセルフケアに頼るのは心配な面もあります。しかし、痛みが軽度であり、発熱などの他の症状もなく、普段から繰り返しているような症状であれば、手持ちの痛み止めを飲んだりストレッチで対応することも可能です。まずは初めて自覚する症状であれば、お医者さんに相談するのが無難です。