あたまがいたい
頭が痛い(数日以内)

右側と左側の頭痛に違いはあるのか:頭の一部が痛くなる場合について

頭の右側だけ、あるいは左側だけが痛むとき、まず原因として考えられるのは片頭痛(偏頭痛)です。その他では、群発頭痛や三叉神経痛などの可能性もあります。頭の一部が痛くなる場合を、危険な状況との見分け方とあわせて説明します。

1. 右側の頭痛と左側の頭痛の違いは?

頭の左右どちらか片側だけが痛む病気は、片頭痛(偏頭痛)をはじめいくつかあります。しかし、「左側ではなく右側だからこの病気」と決めることはできません。
なお、頭の右側だけが痛む病気と、頭の左側だけが痛む病気は同じです。

2. 片側のこめかみや側頭部のズキズキする頭痛

頭の左右片側だけが痛む代表的な原因は片頭痛です。片側のこめかみ・側頭部が痛む、さらに「ズキズキ」と痛む感じが現れます。

片頭痛の特徴

片頭痛は若い人、特に20代から40代の女性に多い頭痛です。

【片頭痛の特徴】

  • 月に数回、頭痛を繰り返す
  • 頭痛が数時間から3日続く
  • 頭痛が片側にだけ出る
  • 「ガンガン」、「ズキズキ」と拍動するような頭痛
  • 前兆となる症状がある。光や音に敏感になる。吐き気・嘔吐をともなう
  • 動くと悪化するので、じっと座ったり、横になっていたい
  • 痛みが強く、日常生活が難しい

ただし上記の特徴すべてが全員に当てはまるわけではありません。

片頭痛の原因

片頭痛の原因ははっきりとはわかっていません。セロトニンという物質が関係するという説などいくつか考えられてはいますが、どれが正しいかはわかっていません。

片頭痛がある人では、身の周りの変化によって頭痛発作が引き起こされることがあります。

【片頭痛が起こる要因】

  • 精神的なもの:ストレス、精神的緊張、疲れ、睡眠の過不足
  • 身体的なもの:月経周期
  • 環境によるもの:天候や気圧の変化、温度差、旅行、におい
  • 食事:空腹、食事を抜くこと、アルコール(特に赤ワインが有名)
  • その他:光、喫煙、運動

上記の要因によって片頭痛が起こるのが明らかな人は、要因を避けることが片頭痛を避けることにつながるかもしれません。片頭痛を経験したら、要因になりえそうなものを記録しておくと傾向がつかみやすいかもしれません。

片頭痛の治療

片頭痛には、安静発作を引き起こすものを避けることなどが勧められます。
また、痛みが強くて仕事や日常生活が難しくなることも多いので、無理をせず脳神経内科や、脳神経外科、一般内科などを受診してください。片頭痛では必要に応じて痛みや吐き気を抑える薬を処方されることがあります。

妊娠・授乳に関係して注意が必要な薬もあるので、妊娠している人やその可能性がある人、授乳中の人は、医療機関でその旨を必ず伝えてください。

3. こめかみや側頭部の特に激しい頭痛

左右片側のこめかみや側頭部の頭痛は、片頭痛のほか群発頭痛(ぐんぱつずつう)も考えられます。

群発頭痛の痛みは激しく、のたうちまわることがあるほどです。

群発頭痛の症状について

典型的な群発頭痛は次のものです。

【群発頭痛の症状】

  • 目の周り、目の奥、側頭部が痛い
  • 頭痛は数十分間持続する
  • 痛い側の目が充血したり、が出てくる
  • 痛さのあまりじっとしていることができない、のたうちまわる
  • 1~2ヶ月の間に集中して頭痛の発作が起きる

ただし、群発頭痛が現れた人でもすべての特徴に当てはまるとは限らないので、一部の症状が当てはまれば、群発頭痛の可能性は少なからずあると考えられます。

群発頭痛の原因について

群発頭痛の発作は、アルコールニトログリセリンヒスタミンによって引き起こされることがあります。しかし、なぜ片側にだけ頭痛が出るかなど、群発頭痛の根本的な原因はわかっていません。

群発頭痛の治療法について

群発頭痛はじっとしていられないほどの激しい痛みが現れます。我慢しないで神経内科などを受診してください。発作の痛みを抑える薬と酸素吸入治療が有効です。繰り返す発作を予防する薬もあるので、医療機関を受診する意義が高いといえます。

妊娠・授乳に関係して注意が必要な薬もあるので、当てはまる人は医療機関でその旨をしっかり伝えてください。

ほかに飲酒・喫煙で発作が引き起こされた自覚があれば、発作を引き起こすものを避けることも注意点となります。

4. 片側の目の奥、目の周りが痛い頭痛

片頭痛または群発頭痛で左右片側の目の奥が痛むことがあります。
飲酒・喫煙など頭痛のきっかけになったことがないか振り返ったうえ、脳神経内科などを受診してください。

5. 片側の前のほうの頭痛

左右片側の頭痛でもピリピリ・チクチクする感じがするときは、顔の神経の痛みも考えに入れて診断が検討されます。

三叉神経痛(さんさしんけいつう)は、顔の感覚を伝える三叉神経が様々な原因で刺激されて生まれる痛みです。

顔の片側のいつも同じ位置に、数秒から数十秒間続く、ピリピリ、チクチクとしたような強い痛みが特徴的です。洗顔や歯磨き、化粧、髭剃り、食事、会話など、ある動作をきっかけに痛みが生じることが多いです。

治療は神経内科などの病院で、痛み止めの薬のほか、ブロック注射や手術などが選択肢となります。

似た症状のある帯状疱疹(たいじょうほうしん)も神経内科などで治療しています。

6. 片側の目の痛みと頭痛

緑内障(りょくないしょう)で左右片側の頭痛が出ることがあります。目が痛むこともあります。

緑内障は、眼球の中の圧力が上がることで、目の神経が傷つき、目が見えづらくなる病気です。

急性緑内障発作という状態に陥ると、急に目が見えにくくなる充血頭痛吐き気といった症状が現れます。急性緑内障発作は放置していると失明にもつながる危険な状態です。

急性緑内障発作による頭痛では、目の奥や、こめかみに強い頭痛を感じます。

急性緑内障発作は危険なのですぐ眼科で治療する必要があります。治療法に点眼薬、飲み薬、レーザー治療、手術があります。

7. 片側の後頭部の頭痛

後頭神経痛(こうとうしんけいつう)は、様々な原因で頭の後ろ側を走る神経(大後頭神経、小後頭神経、大耳介神経)が刺激されて起こる頭痛です。

後頭部の頭皮、表面が数秒から数十秒間、ピリピリ、チクチクとする痛みが特徴的です。痛む部分に痛み以外の違和感があることも多いです。吐き気や嘔吐など、他の症状は通常ありません。

後頭神経痛は数日から1週間程度で治ることが多いです。長く続く場合は鎮痛薬も治療法のひとつです。帯状疱疹などほかの病気がないか見分けることが、診断では大事になります。

8. 例外も多い

左右片側の頭痛の場所ごとに、考えられる病気の例を説明してきました。

ほかに頭痛を起こす病気として脳出血脳腫瘍慢性硬膜下血腫など頭の中の病気もあります。

脳や頭の中の病気の場合、頭痛の場所で原因を見分けることはかなり難しいです。「右側の前のほうの頭痛だから前頭葉に原因がある」というように考えることはできません。「病気による頭痛の原因別の特徴は?」で説明していますので、あわせてご覧ください。

頭痛の原因は詳しい診察や検査を使ってはじめてわかることが多いので、心配なことがあればためらわず病院に相談に行きましょう。

9. 片側の頭痛が緊急事態になるときの見分け方

左右片側の頭痛で特に危険なものについて説明します。

脳出血脳腫瘍の場合、頭全体が痛むこともあれば、出血や腫瘍のある場所が痛むこともあります。痛みの場所では見分けにくいので、以下のポイントに注目してください。

  • ある瞬間に突然始まった頭痛
  • 今まで経験したことがない激しい頭痛
  • いつもと様子の異なる頭痛
  • 頭痛がだんだん多く、強くなってきている
  • 50歳以降で初めて発症した頭痛
  • 手足が動きにくい
  • しゃべりにくい
  • 意識がもうろうとしている
  • がん免疫不全(薬や病気が原因で免疫力が低下していること)の状態である

当てはまるものがひとつでもあれば、緊急事態かもしれません。急いで病院に行ってください。