[医師監修・作成]むちうちで頭痛になるのか:長引く頭痛と脳脊髄液減少症/低髄液圧症候群の関係 | MEDLEY(メドレー)
とうぶのいたみ
急に頭が痛くなった(数日以内)・頭痛

むちうちで頭痛になるのか:長引く頭痛と脳脊髄液減少症/低髄液圧症候群の関係

鞭打ち(むちうち)が長引く頭痛を起こす可能性として、低髄液圧症候群とという現象があります。このページでは低髄液圧症候群とむちうち・頭痛との関係、治療法などを説明します。

1. むちうちによる頭痛の原因?低髄液圧症候群とは

脳の周りを満たしている脳脊髄液(のうせきずいえき、髄液とも言う)に異常が起こると、頭痛の原因になります。たとえば、腰椎穿刺(ようついせんし)で髄液を取り出す検査をした後に、検査で開いた穴から少しずつ髄液が漏れて、髄液の減少による髄液圧の低下で、頭痛が起こることが知られています。

腰椎穿刺後でなくても外傷が原因で、あるいは特にきっかけもなく、同じような仕組みで引き起こされている頭痛があるのではないかと考えられています。これが低髄液圧症候群(ていずいえきあつしょうこうぐん)です。

低髄液圧症候群は不明な点が多い

脊髄液圧症候群の原因や、メカニズム、診断法、実際の患者数などはわかっていないことが多いです。そして、その呼び方も定まってはおらず、脳脊髄液減少症や、低髄液圧症候群、脳脊髄液漏出症など様々です。

むちうちで頭痛になるのは低髄液圧症候群のせい?

日本では交通事故の後に起こる「頚椎捻挫(けいついねんざ)」、いわゆる「鞭打ち(むちうち)」と、脳脊髄液減少症の関連性が話題になりました。鞭打ちになってしまった人には、頭痛やめまい、吐き気、体がだるい感じが事故のあと数ヶ月以上も続く人がいます。その症状の原因が脳脊髄液減少症なのではないかという考えのもとに、脳脊髄液減少症の治療法が試されたりしてきました。

ただ、残念ながら鞭打ち脳脊髄液減少症の関連性はよくわかってはおらず、十分な検証がされず実態がわからない状況です。

2. 低髄液圧症候群による頭痛に特徴はあるか?

低髄液圧症候群の主な症状は頭痛とされます。特徴的なのは「起立性頭痛」で、寝ている状態から立ち上がったり、座ったりすると頭が痛くなります。痛みは15分から2時間ほど続きます。鈍い痛みと表現されることが多く、痛みの場所は頭全体のこともあれば前や後ろの時もあります。痛みの強さも、軽いものから重いものまであるようです。

低髄液圧症候群でなぜ起立性頭痛になるのか

「起立性頭痛」のメカニズムははっきりとは分かっていないのですが、立ち上がることで髄液が下の方(腰側)に集まり、頭の方で髄液の量が減ったり、髄液の圧が低くなったりするのではいかと考えられており、頭痛が引き起こされるメカニズムと考えられています。

低髄液圧症候群で頭痛・むちうち以外の症状はある?

頭痛以外には次の症状があります。

【低髄液圧症候群の症状】

  • 首の痛み
  • 吐き気、嘔吐
  • めまい(ふらふらする感じ)
  • ふらつき
  • 耳鳴り

低髄液圧症候群の症状とされる首の痛みやめまい・ふらつきは、むちうちの症状と共通しています。

3. 低髄液圧症候群を調べる検査はあるのか?

腰椎穿刺をした後の人であれば、問診や経過、症状をもとに、腰椎穿刺が原因(脳脊髄液減少症/低髄液圧症候群)と推定できます。

そうでない場合、本当に低髄液圧症候群の状態が起こっているかどうかを確認するには、実際に髄液の圧を測ってみる必要があります。ところが髄液の圧を測るために腰椎穿刺を行うと、それ自体が頭痛の原因になってしまうので、実際に検査を行うかどうかの判断が非常に難しいです。

つまり、むちうちの後に頭痛が出ている人が低髄液圧症候群かどうかを検査で確かめるのは困難だと考えられています。
腰椎穿刺に関する説明、実際のやり方は「髄液検査と腰椎穿刺」で詳しく説明しています。

腰椎穿刺をしないと低髄液圧症候群はわからない?

腰椎穿刺の他にはMRI検査や、CT検査などで髄液の漏れがあるかどうかを調べる方法があります。ただ、標準的な検査とは言い難いので、行われることは多くはありません。

5. 低髄液圧症候群の治療は?

低髄液圧症候群の治療法は確立されてはいませんが、腰椎穿刺後の低髄液圧症候群に対しては、いくつか試す価値がある治療法があるので、説明します。

水分補給

減少してしまった髄液の量が少しでも早く回復するように、たくさん水分をとったり、あるいは点滴で補ったりします。髄液の漏れている部分は自然にふさがるのを待ちます。長くても2週間以内に良くなることが多いです。

硬膜外ブラッドパッチ

正式には「硬膜外自家血注入療法」と呼ばれます。検査で明らかに髄液が漏れていた場合や、最初よりもどんどん症状が重くなっている場合、日にちが経っても(例えば2週間以上経っても)頭痛が良くならない場合に検討されることがあります。

実際のやり方としては、まず自分の血を数十ml採血します。その後ベッドに横向きになって、「腰椎穿刺」と似たやり方で、事前に採取した血液を注入します。腰椎穿刺では髄液がある空間まで針を刺しますが、硬膜外ブラッドパッチはその外側に血液を注入するので、治療が原因で新たに髄液が漏れることは通常はありません。