◆29歳までのトランスジェンダーの女性を調査
この報告は、トランスジェンダーの女性(自分は女性だと認識する人)を対象に、HIV感染症の予防対策の効果を調べるためアメリカで進行中の研究「Project LifeSkills」の参加者の特徴をまとめたものです。
16歳から29歳のトランスジェンダーの女性で、性的活動がある人298人が対象となりました。
対象者にはあらかじめ質問を決めた問診が行われ、うつ症状などの精神の問題があるかが調査されました。
◆うつ症状が14.7%
次の結果が得られました。
特定の障害の有病率は以下のとおり:生涯での大うつ病エピソード35.4%、調査時点での大うつ病エピソード14.7%、自殺傾向20.2%、全般性不安障害7.9%、心的外傷後ストレス障害9.8%、アルコール依存11.2%、アルコール以外の精神作用物質使用の依存15.2%。
対象者のうち、調査時点でうつ症状があった人が14.7%、30日以内に自殺するリスクが中等度以上と見られた人が20.2%、アルコール依存状態が見られた人が11.2%いたほか、全般性不安障害、心的外傷後ストレス障害などが見られました。
研究班はこの結果をふまえて「この集団における精神の健康と薬物依存障害に対処するために、通常のプライマリケア、診断的スクリーニング、心理療法、薬物治療へのアクセスを改善すること、臨床的コミュニティに基づいた小児科および青年の医療設備によるケアを維持することが緊急に必要とされている」と結論しています。
執筆者
Psychiatric Diagnoses and Comorbidities in a Diverse, Multicity Cohort of Young Transgender Women: Baseline Findings From Project LifeSkills.
JAMA Pediatr. 2016 Mar 21.[Epub ahead of print]
[PMID: 26999485]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。