2018.11.22 | コラム

便秘薬には何がある?市販薬(酸化マグネシウムE便秘薬、タケダ漢方便秘薬、コーラックⅡなど)の選び方とは

主な市販便秘薬を大きく5つに分けて説明します
便秘薬には何がある?市販薬(酸化マグネシウムE便秘薬、タケダ漢方便秘薬、コーラックⅡなど)の選び方とはの写真
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「旅行先で便秘になる」「生理の前後だけ便秘になる」「いつも便秘気味で悩まされている」など、便秘になるタイミングや程度は人によってさまざまです。そのうえ便秘に悩んでいる人は他人には相談しづらくて困っていることも多いです。
便秘解消には食事や運動など日常生活の見直しが効果的ですが、市販薬を利用するのも選択肢の一つです。このコラムでは、便秘で悩んでいる人が、自分で市販薬を選ぶ際のポイントを解説します。
(なお、本記事に登場する薬剤に関して、株式会社メドレーは特定の製薬企業やその関係団体との利害関係はありません)

◆ そもそもどこからが便秘?:便秘の定義とは

「何日も便が出ていなくてお腹が張っている感じがする」「便が硬くてなかなか排便できない」。一般的にはこのような症状があったときに便秘と呼ぶことが多いと思います。

医学的には、「何日以上排便がなければ便秘と呼ぶ」といった便秘の定義はあるのでしょうか。

便秘の定義は学会によってもさまざまです。例えば、日本内科学会では「排便回数が週に3日未満」を慢性便秘の定義の一部としています。一方、慢性便秘症診療ガイドライン2017の中では「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状況」と定義しています。この場合は、週に2日しか排便がなくても不快でなければ便秘とはいえませんし、毎日排便があってもすっきりしなければ便秘といえます。

このように、便秘にはさまざまな定義があるのが現状です。迅速な治療が必要となる病気が原因の便秘を除いては、一般的に患者さんのQOL(生活の質)を考慮した治療が優先されます。

 

◆ 市販薬を自分で選ぶ際のポイント

便秘薬に限らず、例えば風邪薬などの市販薬を購入しようとする際、非常に多くの商品ラインナップがあり「どれを選べばいいのかわからない・・・」と思った経験はないでしょうか? 迷ったすえに、結局、以前から使用している薬やCMで聞いたことのある薬を手に取ることもあるかもしれません。

しかし、それでは必ずしもその時の症状に合った最適な薬を選択しているとは限りません。

自分で市販の薬を選ぶ際に重要なポイントは、成分の主な特徴を知ることです。薬の外箱や容器などには、主な成分の他に製品の特徴が記載されていることも多く、その内容を参考にして適切な薬を選ぶことが重要になります。
とはいえ、たくさんの市販薬があるなか、それぞれの成分を比較して自分に合ったものを選ぶのは簡単ではありません。

そこで市販の便秘薬に含まれる有効成分や特徴を比較しやすいように5つに分けて、簡潔に説明していきます。

 

◆ 主な便秘薬の種類と特徴

1)浸透圧性下剤:酸化マグネシウム

「カマ」という名前を聞いたことがあるかもしれません。これは「酸化マグネシウム」という有効成分の略称で、浸透圧性下剤に分類される便秘薬です。便秘薬のなかではもっとも安全性が高いとされており、軽度の便秘であれば最初に選ぶ薬として推奨されている薬です。

浸透圧作用を利用して水分を腸内に取り込むことで便を柔らかくし、便が膨らむことで腸のぜんどう運動を促す作用をもちます。下剤効果は比較的おだやかで、薬を長期的に使っても効果が低下しにくい(耐性を生じにくい)ことが主な特徴です。そのため場合によっては、医師の指示のもと小児や妊婦に処方されることもあります。

ただし、高度に腎機能が低下している人では高マグネシウム血症を起こすこともあるので、服用に注意が必要です。

市販薬としては「酸化マグネシウムE便秘薬」、「スラーリア®便秘薬」などがあります。処方薬としては「酸化マグネシウム」というそのままの名前であったり、「重カマ(重質酸化マグネシウム)」や「マグミット®」などの名称でも使われています。

 

2)刺激性下剤:センノシド、大黄(ダイオウ)、ピコスルファートなど

刺激性下剤はその名の通り、腸を刺激することで排便を促す薬で、大きく「大腸刺激性」と「小腸刺激性」に分けることができます。

大腸刺激性下剤は主に大腸内で腸内細菌によって分解され、その分解物が大腸のぜんどう運動を促したり、大腸から体内に吸収される水分を抑えたりして便を柔らかくする働きをもちます。そのため、この薬は、何らかの理由でぜんどう運動が弱くなっている人や、しつこい便秘に困っている人などに効果が期待できます。

ただし、センノシドなどの植物のセンナを由来とする成分や大黄(ダイオウ)などの大腸刺激性下剤は、長期的な使用によって大腸の中に色素沈着を引き起こしたり、長期間の使用により薬が効きづらくなること(耐性を生じる)もあるため、過度な使用には注意が必要です。

また、刺激性下剤の多くは妊婦が使うと、子宮収縮を誘発させ早産流産を引き起こす可能性もあります。

市販の便秘薬には刺激性下剤を含むものが多く、自身の体質などに合わせた選択が特に大切です。センノシドは「コーラックハーブ」など、大黄は「タケダ漢方便秘薬」など、ピコスルファートナトリウムは「ビューラック・ソフト」などの成分として使われています。またピコスルファートに乳酸菌を加えた「ビオフェルミン®便秘薬」といった商品も発売されています。 刺激性下剤を含む処方薬としてはプルゼニド®、大黄甘草湯(ダイオウカンゾウトウ)、ラキソベロン®などがあります。刺激性下剤には大腸以外にも小腸や盲腸などを刺激する小腸刺激性下剤があり、「ヒマシ油」などがあげられます。

 

3)膨張性下剤:食物繊維、植物繊維など

膨張性下剤は浸透圧性下剤の効果に近く、腸内で水分を吸収して膨らみ、便を柔らかくすることで腸のぜんどう運動を促す薬です。

食物繊維を主成分とするため穏やかに作用し、より自然に近い排便を促してくれる特徴があります。初めて便秘薬を服用する人や、刺激が少ない方がいいという人に向いているといえます。

市販薬では「ウィズワン®️エル」、「コーラックファイバー」、「スルーラック®️デトファイバー」などが食物などの繊維を含む膨張性下剤として販売されています。食物繊維の働きではありませんが、処方薬のバルコーゼ®は服用の際の水とともに腸内で膨張し作用する薬として知られています。

 

4)浸潤性下剤:ジオクチルソジウムスルホサクシネート(DSS)など

浸潤性下剤は便の表面張力を低下させて水分を浸潤させることで便を柔らかくし、排便しやすくする薬です。その性質から、服用時に水分を多めにとることで効果的に作用します。市販薬ではDSSとビサコジル(刺激性下剤)を配合した「コーラックII」や「コーラックファースト」などが販売されています。処方薬ではDSSに腸のぜんどう運動を促すカサンスラノールという成分を配合した「ビーマス®配合錠」などが使われています。

 

5)その他、浣腸などの外用薬:グリセリン、炭酸水素ナトリウムなど

グリセリンは直腸内に投与することで腸内で水分を吸収し便を柔らかくするとともに、直腸粘膜を刺激する作用をもつため、強い排便効果をあらわします。

早い対応が必要な際や重度の便秘の際に限って使用されます。習慣性(連用で耐性が生じ、薬に頼りがちになること)になる可能性もあるので一般的には連用は避けたほうがよいです。

市販薬では「グリセリン浣腸」、「イチジク浣腸®︎30」などがあります。またグリセリン浣腸は処方薬(主な商品名:グリセリン浣腸「オヲタ」、ケンエーG浣腸液)としても使われています。

その他、炭酸水素ナトリウムは直腸内へ投与することで炭酸ガスを発生させ、直腸周辺を刺激し排便を促します。主な炭酸水素ナトリウムの坐剤として、市販薬では「新レシカルボン®坐剤S」、処方薬では「新レシカルボン®坐剤」などがあげられます。

 

◆ 一人ひとりの症状にあった薬選びを

便秘薬と一口にいっても各々の特徴があり、一人ひとりの症状に合ったものを選ぶことで便秘の改善が期待できます。
ここまでの薬の特徴をふまえて、便秘薬の選び方のポイントを簡潔にまとめると下記のようになります。

 

便秘薬の選び方】

  • 軽い便秘や初めて便秘薬を使う人には「酸化マグネシウム」「膨張性下剤」
  • しつこい便秘には「刺激性下剤」「浸潤性下剤」
  • 早い対応が必要な時には「浣腸などの外用薬

 

ただし、便秘の改善には食生活や日々の運動など、薬以外の方法も重要です。止むを得ず便秘薬を使う場合であっても有効成分の効き方には個人差があり、人によって向き不向きがあります。便秘薬の服用(使用)自体に特に問題がない場合でも、服用(使用)中に腹痛などの症状が現れたり効果が得られず便秘が続く場合には、医療機関の受診をお勧めします。

また、いずれの薬を選ぶ際にも、なんらかの持病や他に服用(使用)中の薬がある場合、薬によって副作用が出た経験がある場合などは特に注意が必要です。持病がある場合には事前に普段かかっているお医者さんに相談し、実際に薬を購入する際にも薬剤師さんなどに自身の体質や症状などを相談して、薬の説明や注意点などをしっかりと聞いておくことがとても大切です。

便秘でお悩みの人がスッキリとした日々を送れるよう、このコラムを参考にしていただければ幸いです。

 

執筆者

河田友紀子

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。