2017.02.14 | ニュース

乳がんの手術のあと2か月以上痛みが残った人の特徴

30件の研究報告から
from CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne
乳がんの手術のあと2か月以上痛みが残った人の特徴の写真
(C) Adiano - Fotolia.com

乳がんの治療では手術が有力です。手術は高い治療効果の一方、術後の痛みにもケアが必要です。長引く人では数か月間痛みが続きます。痛みが続きやすい人を見分けるために、過去の研究報告から予測に役立つ特徴が調査されました。

カナダの医学誌『CMAJ』に、乳がん手術後の患者について過去に報告されているデータを調査した研究が掲載されました。

この研究は、乳がんの手術後2か月以上痛みが続いた人の特徴について、これまでにどのようなデータが報告されているかを調査しています。

研究班は文献データベースから関係する研究報告を検索して集めました。30件の研究が見つかり、合計19,813人の患者についての情報が得られました。

 

見つかった研究から次の結果が得られました。

高い質の証拠により、持続する痛みのオッズは年齢がより若いこと(10年下がるごとにオッズ比1.36、95%信頼区間1.24-1.48)、放射線治療(オッズ比1.35、95%信頼区間1.16-1.57)、腋窩リンパ節郭清(オッズ比2.41、95%信頼区間1.73-3.35)、術後急性期の痛みがより強いこと(10cm VASで1cmごとにオッズ比1.16、95%信頼区間1.03-1.30)に対して増加することが示された。中等度の質の証拠により、術前の痛みがあることに関連があることが示唆された(オッズ比1.29、95%信頼区間1.01-1.64)。

高い質の証拠により、BMI、乳房手術の術式、化学療法、内分泌療法との関連はないことが示された。

次の場合に2か月以上痛みが続きやすかったことが報告されていました。

  • 年齢が若い
  • 手術のほかに放射線治療を行った
  • 腋窩(脇の下)のリンパ節郭清を伴う手術を行った
  • 術後すぐの痛みが強かった
  • 術前から痛みがあった

以下のことは2か月以上痛みが続くかどうかと統計的な関連がありませんでした。

  • BMI(体重÷身長÷身長、肥満度の目安)
  • 乳房の手術をどの術式で行ったか
  • 化学療法(抗がん剤)を使ったかどうか
  • 内分泌療法(ホルモン療法)を使ったかどうか

 

乳がんの手術は、がんを取り除いて再発しないように治療することが目的ですが、手術後の生活を楽にすることも大切です。放射線治療やリンパ節郭清は、治療効果を高める一方で、体の負担を増やすことにもなります。効果的な治療をしつつ治療による痛みなどは抑える工夫が求められます。

痛みが続きやすい場合を予測できれば、痛み止めの治療を長く処方するなどの対処を計画するための参考になります。

もちろん予測は外れることもあります。当てはまる要素がなくても痛みがあるときは主治医に痛みを訴えることや、痛みを抑える治療の効果が実感できているかを伝えることなど、相談しながら治療を続けることが大切です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Predictors of persistent pain after breast cancer surgery: a systematic review and meta-analysis of observational studies.

CMAJ. 2016 Oct 4.

[PMID: 27402075]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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