◆ニューサウスウェルズ州の男児を調査
この研究は、オーストラリアのニューサウスウェルズ州で2001年から2011年に出生した男児を対象としました。停留精巣の出現頻度、外科手術を受けた患児の割合と年齢等が検討されました。
◆外科手術時期は13カ月
次の結果が得られました。
10.875人(2.1%)の男児に停留精巣の診断が記録されていた。そのうち4,980人(45.8%)の患者に外科手術が行われた。これは生産男児1,000人あたり9.6人の累積有病率に相当する。手術の5%は精巣除去であり、また男児の9%は再手術を受けた。
手術時期の中央値は生後16.6カ月(IQR11.8-31.0)であり、2001年出生児を対象とした場合の21カ月に対し、2010年出生児を対象とした場合は13か月に下がっていた。
生後36カ月以前に外科手術を受けた男児(3,897人)の中で、67%の患者の施術時期は生後12カ月以降だった[...]。
出生男児50人に1人の割合で停留精巣が認められましたが、うち半数近くの患児には手術の報告がありませんでした。外科手術を受ける時期は2001年よりも2010年のほうが早い時期が多くなっていたものの、生後12カ月以降における施術が3分の2を占めました。
停留精巣と診断されても、生後6カ月頃までは精巣の自然下降が期待できます。
しかしその後も陰嚢内に触れない場合は治療が必要で、停留精巣を放置すると、将来的に不妊症や精巣腫瘍を招くおそれがあります。したがって、停留精巣の診断を受けた場合は、経過観察の後、適切な時期での手術が求められます。
今回約2%の割合と報告されたように停留精巣の頻度は非常に高く、男の子が産まれたときは一度は気にしてみるべき疾患と言えます。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。