2015.08.24 | ニュース

停留精巣に超音波検査を使っても意味がない?

カナダの診療記録から

from Pediatrics

停留精巣に超音波検査を使っても意味がない?の写真

停留精巣は陰嚢に精巣が入っていないことから見つかり、手術で治療されます。超音波検査でお腹の中の精巣の位置を調べることもできますが、カナダの研究班は、検査が行われた記録の調査から、実際に行われている検査が「過剰」と報告しました。

◆カナダの記録から調査

精巣は出生前の胎児の体の中で、お腹の中から移動して陰嚢に収まります。停留精巣は精巣がまだ陰嚢に収まっていない状態で、生後しばらくの期間に精巣が移動して自然に解消することがあります。超音波検査では、精巣を見つけられない場合や、別のものを精巣と見間違う場合も多いという意見があります。

研究班は、カナダの診療記録から、停留精巣の検査に超音波検査が使われた頻度を調べました。また、超音波検査が行われた場合と行われなかった場合との治療を比較しました。

 

◆的中は54%

次の結果が得られました。

超音波検査を受けた子どもは、根治的外科治療がおよそ3か月遅れていた。超音波検査が身体診察の所見を正しく予見できたのは患者の54%についてだけだった。

超音波検査が行われた場合、手術が行われる時期が3か月程度遅くなっていました。また、超音波検査で正しい診断ができた場合は54%にとどまりました

研究班は「超音波検査は停留精巣の管理に対して限られた価値しか持っていないが、いまだ広く過剰に使われ、時間を追うと増加する傾向にある」と述べています。


検査の目的と、期待できる結果について、十分な情報を検討したうえ検査を行うことが必要なのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Inappropriate Use of Ultrasound in Management of Pediatric Cryptorchidism.

Pediatrics. 2015 Aug 10 [Epub ahead of print]

[PMID: 26260719]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る