2016.03.13 | ニュース

膝の手術のあと、落ちた筋力は回復するのか?

複数の研究結果から分析
from PloS one
膝の手術のあと、落ちた筋力は回復するのか?の写真
(C) twinsterphoto - Fotolia.com

変形性膝関節症などの治療で行われる人工膝関節置換術では、手術により筋肉に影響が及ぶため、術後に膝関節周囲の筋力が低下します。筋力はどの程度回復するのでしょうか。過去の研究からまとめた結果が報告されました。

◆5つの研究論文からデータ解析

人工膝関節置換術後は膝周辺の筋力が低下します。この研究は、術後の時期によって筋力がどのように変化するかを調べました。過去の5つの研究からデータをまとめて解析しました。

筋力の指標として、手術した足と反対の足を比較して、大腿四頭筋(太ももの前面)とハムストリングス(太ももの後ろ側)の筋力を継続して測定した結果を調べました。

 

◆筋力は術前のレベルまでは回復したが、左右差が残った

以下の結果が得られました。

人工膝関節術側と反対側との大腿四頭筋とハムストリングスの筋力の平均差は手術後3ヶ月で最大となった(大腿四頭筋 26.8N・m  ハムストリングス 12.8N・m P<0.001)。しかし、6ヶ月で術前のレベルと同様となった(大腿四頭筋 18.4N・m ハムストリングス 7.4N・m  P<0.001)。そして、手術後1年まで維持した(大腿四頭筋 15.9N・m ハムストリングス 4.1N・m  P<0.001)。術前のレベルと比較した筋力の変化量のプールされた平均差は術後3ヶ月(P=0.041)で大腿四頭筋9.2N・m、ハムストリングス4.9N・mであったが、6ヶ月から1年で有意ではなくなった。

手術した足と反対の足の筋力に、術後3ヶ月の時点で最も大きい差がみられました。

術後の1年の間に、リハビリなどの結果、太ももの筋力は6ヶ月後に術前のレベルまで回復しましたが、反対の足と筋力の差がなくなるまでは改善しませんでした

 

人工膝関節術後の筋力は左右差が残ることが示されました。左右差があることで日常生活上何に影響するのかなど、生活面での影響も調査する必要がありそうです。

執筆者

PT K.S.

参考文献

Serial Changes of Quadriceps and Hamstring Muscle Strength Following Total Knee Arthroplasty: A Meta-Analysis.

PLoS One. 2016 Feb.

[PMID: 26849808]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。