2016.02.29 | ニュース

胃薬と認知症に関連性はあるのか

75歳以上の73,679人を対象に
from JAMA neurology
胃薬と認知症に関連性はあるのかの写真
(C) Kzenon - Fotolia.com

高齢化社会が進むにつれて、薬の使用量も年々増えてきています。そんな中で、薬による副作用や予期せぬ影響が問題となっています。本研究では、胃薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)と認知機能の低下に関係があるか検討しました。

◆2015年8月~11月までの診断データを検証

ドイツの医療保険のデータベースのうち、2015年8月~11月までの薬物処方と診断のデータを基に分析を行いました。

PPIの胃薬に属するオメプラゾール、パントプラゾール、ランソプラゾール、オメプラゾール、またはラベプラゾールの使用と認知症の発生との関連を調べました。

 

◆胃薬により認知量のリスクの増加

次の結果が得られました。

75歳以上の73679人の認知症がなかった患者を調査した。定期的なPPIの胃薬を使っている患者(n=2950;平均[SD]年齢、83.8[5.4]歳;その内77.9%が女性)とPPIの胃薬を使っていない患者(n=70729;平均年齢83.0[5.6]歳;その内73.6%が女性)を比較したところ、認知症リスクの有意な増加がみられた。(ハザード比1.44[95%CI、1.36から1.52]; P<0.001)。

PPIを使っていた人の中では、使っていなかった人よりも認知症が多く発生していました

研究者たちは、「PPIを薬物治療で使わないことは、認知症発症を予防することができる可能性がある」と結論しています。

執筆者

宮本知明

参考文献

Association of Proton Pump Inhibitors With Risk of Dementia: A Pharmacoepidemiological Claims Data Analysis.

JAMA Neurol. 2016 Feb 15. [Epub ahead of print]

[PMID: 26882076]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。