2015.12.11 | ニュース

男性が胃潰瘍の薬を飲むと太る??

成人3,037人を対象に調査
from Nutrients
男性が胃潰瘍の薬を飲むと太る??の写真
(C) Andrey Popov - Fotolia.com

胃潰瘍の薬の1つに、プロトンポンプ阻害薬という種類があります。今回研究チームは、今まで分かっていなかったエネルギー代謝に対するプロトンポンプ阻害薬の効果を報告しました。

◆胃潰瘍治療薬、プロトンポンプ阻害薬とは

胃潰瘍は、過剰な胃酸によって胃粘膜まで溶けてしまうことで痛みや出血が起こる病気です。胃潰瘍などの治療に使われる薬の1つに、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬があります。

 

◆プロトンポンプ阻害薬の有無による比較

研究チームは、アメリカの健康や栄養に関する調査データのうち、成人3,037人のデータを比較調査の対象としました。対象者のうち、プロトンポンプ阻害薬を飲んでいる人と飲んでいない人との間では、体重など体の変化にどのような違いが表れるのか調査しました。

 

◆プロトンポンプ阻害薬を飲んでいる男性は体重が増加した

調査の結果、以下のことが分かりました。

プロトンポンプ阻害薬を飲んでいる男性は、飲んでいない男性と比較して前年度よりも体重の増加が見られたが(1.52±0.59 kg、P=0.021)、一方でプロトンポンプ阻害薬を飲んでいる女性は体重に有意でない増加が見られた。

この研究からは、プロトンポンプ阻害薬を飲んでいる男性は体重が増加する傾向にあったことが示されました。

 

副作用の可能性が考えられるほか、プロトンポンプ阻害薬を飲んでいる人は胃の調子がよくなって栄養が吸収されやすくなったのかもしれませんが、もともと体重増加につながる生活習慣を送っていた人がプロトンポンプ阻害薬を飲む傾向にあるという可能性も否定出来ません。いずれにしても、プロトンポンプ阻害薬を使うときは、体重増加があるかもしれないと思って使う方がいいかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Association of Proton Pump Inhibitor (PPI) Use with Energy Intake, Physical Activity, and Weight Gain.



Nutrients. 2015 Oct 19

[PMID: 26492268]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。