リラグルチドは体重も減らして2型糖尿病改善?

2型糖尿病の治療として、すい臓のβ細胞を刺激するインクレチンに着目した手法があります。今回著者らはこのインクレチンと同様に働く治療薬、リラグルチドの血糖値制御作用に着目しました。
◆スウェーデンで124名を対象に試験
著者らは以下の調査を行いました。
2型糖尿病を
発症 し、血糖 値制御が異常で(HbA1c濃度 ≥58 mmol/mol (7.5%)と≤102 mmol/mol (11.5%))、BMI が27.5から45(kg/m(2))を示し、1日に複数回のインスリン 注射を必要とする患者を対象にした。
つまり血糖値制御が悪くなって、体重も過剰になっている2型糖尿病患者124人を対象としました。リラグルチドを注射した群と偽薬を注射した群に分け、糖尿病の検査値であるHbA1cの変化で改善の判定を行いました。
◆リラグルチド投与でHbA1cおよび体重の低下がおこる
著者らは以下の結果を得ました。
リラグルチドはHbA1cの16.9mmol/mol(1.5%)の
有意 な低下を示し、偽薬は4.6mmol/mol(0.4%)の低下であった。差は-12.3mmol/molであった(95%信頼区間は-15.8から-8.8mmol/mol; -1.13%、-1.45から-0.81mmol/mol)。体重はリラグルチド注射グループにおいて、偽薬グループと比べ有為に低下した(3.8対0.0kg、差は-3.8、-4.9kgから-2.8kg)。
つまり、リラグルチドは体重減少と糖尿病の改善を促しました。なお副作用として低血糖の症状の増加は現れませんでした。吐き気が一部の人に見られました。
著者らは、「日々複数回のインスリン注射を行う2型糖尿病患者へのリラグルチド投与は低血糖リスクなしに血糖値コントロールを改善し、体重を減少させ、インスリン使用量減少を可能にする。」と述べています。
執筆者
Liraglutide in people treated for type 2 diabetes with multiple daily insulin injections: randomised clinical trial (MDI Liraglutide trial).
BMJ. 2015 Oct 28.
[PMID: 26512041]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。