2016.01.20 | ニュース

妊娠中に飲んだ薬と、子どもの心臓病が関係する?

文献の調査から

from British journal of clinical pharmacology

妊娠中に飲んだ薬と、子どもの心臓病が関係する?の写真

妊娠初期の胎児は、薬の影響を受けやすいと考えられています。妊娠初期に母親がパロキセチンを使ったとき、子どもの先天性心疾患の頻度に違いがあるか、これまでに行われた研究のデータを統合した結果が報告されました。

◆妊娠初期のパロキセチンと先天性形態異常に関係はあるか?

パロキセチンはSSRIという分類にあたる抗うつ薬の一種で、広く使われていますが、妊娠中の使用には注意が必要とも言われています。

研究班は、過去の研究を検索して、妊娠初期のパロキセチン使用と、産まれてきた子どもの先天性形態異常の関連を調べたものを集めました。

 

◆子どもの先天性心疾患が多い

見つかった23件の研究データから、次の結果が得られました。

パロキセチン曝露がない場合に比べて、妊娠初期でのパロキセチンの使用は、何らかの主要な先天性形態異常を複合したリスク(プールしたオッズ比1.23、95%信頼区間1.10-1.38、15件の研究から)、主要な先天性心疾患のリスク(プールしたオッズ比1.28、95%信頼区間1.11-1.47、18件の研究から)[...]の増加と関連した。

妊娠初期にパロキセチンを使っていた場合は、使わなかった場合に比べて、子どもに心臓の形の異常がある頻度がわずかに高いと見られました。

 

妊娠中にうつ症状が現れたり、うつの治療中に妊娠が始まることがあります。産まれてくる子どものためにもうつの治療は大切ですが、認知行動療法などほかの方法とも比べたうえ、それぞれの良い面と悪い面をよく検討して治療を選ぶことが大切です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The risk of major cardiac malformations associated with paroxetine use during the first trimester of pregnancy: A systematic review and meta-analysis.

Br J Clin Pharmacol. 2015 Nov 27. [Epub ahead of print]

[PMID: 26613360]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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