◆8週間の運動によるその後の効果を比較
87人の前立腺がん患者と72人の乳がん患者を対象として、運動と心理的支持療法を行うグループ(84人)と行わないグループ(75人)に分け、8週間後の経過を観察しました。運動療法として、ランダムに低-中等度の強度(44人)か中等度から高い強度(40人)の運動を行いました。
介入の効果は、生活の質(Functional Assessment of Cancer Therapy-Breast or -Prostate to assess quality of life)と運動へのモチベーション(Behavioural Regulations of Exercise Version 2 for exercise motivation)に関する質問紙を用いて聞き取りました。
◆高い強度の運動で運動意欲がより改善
研究の結果、以下が示されました。
介入後からフォローアップまで低い強度と高い強度のグループは同じようにQOLを維持した。ベースラインと介入後の間、対照群と比較して両介入群は、運動のモチベーションをより改善した(p=0.004)。4ヵ月間のフォローアップ後、高い強度のグループは、全体的な運動意欲と(p<0.001)、内的動機付けの両ドメイン(固有の規制p=0.047、識別規制p=0.007)を維持した[…]。
この結果は、運動によってがん患者の生活の質は維持され、高い強度の運動を行った人は、より高い運動意欲があったことを示しています。
どのようなメカニズムで運動が患者の生活の質や運動意欲に関与したかは示されていませんが、運動の効果は身体機能の向上のみならず患者の心理面にも影響を与えるということが示唆されました。運動の強度は、患者自身の受け入れや身体状況によっても異なりますが、取り入れてみても良いかもしれません。
執筆者
Higher-intensity exercise helps cancer survivors remain motivated.
J Cancer Surviv. 2015 Nov 19.
[PMID: 26586495]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。