2015.12.11 | コラム

胃痛、胸やけ…市販薬で対処できる??

市販の胃酸抑制薬に関して
胃痛、胸やけ…市販薬で対処できる??の写真
(C) Syda Productions - Fotolia.com

12月11日は「胃腸の日(胃にイイ日)」。胃腸へのいたわりの気持ちを持つ日とされています。師走における仕事の忙しさや忘年会などで胃腸に負担がかかりやすいこの時期…。

病院にかかる程ではない(?)けど調子が今ひとつ…という方にとっては薬局やドラッグストアなどで購入できる市販の胃薬は強い味方と言えるかもしれません。今回は市販の胃薬の中でも“ある種類”の胃酸を抑える薬に関して考えてみます。

 

◆ 市販薬としても使用されているH2ブロッカー

胃薬の中に胃痛や胸やけの原因の一つである胃酸(主成分:塩酸)を抑える薬としてH2ブロッカー(ヒスタミンH2受容体拮抗薬)という種類の薬があります。

医療用医薬品(医療機関に受診し医師の診察のもと処方される薬)として使用されているH2ブロッカーは、胃酸を分泌させる化学物質のうちヒスタミンの受容体(H2受容体)への結合を阻害(ブロック)することで胃酸の分泌を抑えます。医療用医薬品としては主に胃潰瘍などの消化性潰瘍逆流性食道炎などの治療薬として使われていますが、その成分のいくつかは市販薬としても使われており、主に一時的な胃痛、胸やけなどの症状緩和に用いられています。

以下は市販薬として販売されているH2ブロッカーの一部に関して、成分名や市販薬と医療用医薬品との違いなどを簡潔にまとめたものです。(医療用医薬品、市販薬ともに2015年12月現在、発売されている製剤となります)

 

・ファモチジン(市販薬商品名:ガスター10、ニチブロック10 など)

コマーシャルでもよく耳にする「ガスター10(テン)」の成分がこのファモチジンです。医療用医薬品では1錠中にファモチジンを20mg含む製剤(ガスター®錠20mg など)もありますが、市販薬では1回服用分(1錠中など)にファモチジンを10mg含む製剤となっています。

 

・ラニチジン(市販薬商品名:アバロンZ、大正胃腸薬Z)

医療用医薬品としては「ザンタック」などの名称で処方される薬です。医療用医薬品(注射剤を除く)としては1錠中にラニチジンを75mg含有する製剤と150mg含有する製剤(ザンタック®錠75mg、ザンタック®錠150mg など)があります。

一方、市販薬で販売されているラニチジン製剤は他の成分の胃薬も一緒に配合した製剤となります。「アバロンZ」と「大正胃腸薬Z」は共にラニチジンを1回服用分2錠中)として63mg含み、他に酸化マグネシウムなどの制酸剤が配合されています。制酸剤の配合により効果に関しての単純比較は一概にはできないものの、ラニチジンの含有量に関しては医療用医薬品に比べると抑え気味の製剤になっています。

 

・ニザチジン(市販薬商品名:アシノンZ錠、アシノンZ胃腸内服液 など)

医療用医薬品としても「アシノン」などの名称で処方される薬です。医療用医薬品では1錠中(又は1カプセル中)にニザチジンを75mg含む製剤と150mg含む製剤(アシノン®錠75mg、アシノン®錠150mg など)がありますが、市販薬としてはいずれも1回服用分(1錠中など)にニザチジンを75mg含む製剤となっています。

 

・ロキサチジン酢酸エステル塩酸塩(市販薬商品名:イノセアワンブロック)

医療用医薬品としては「アルタット」などの名称で処方される薬です。医療用医薬品(注射剤や細粒剤を除く)では1カプセル中にロキサチジン酢酸エステル塩酸塩を37.5mg含む製剤と75mg含む製剤(アルタット®カプセル37.5mg、アルタット®カプセル75mg など)があります。

市販薬の「イノセアワンプロック」は医療用医薬品の“上”の規格同様、1カプセルにロキサチジン酢酸エステル塩酸塩を75mg含む製剤となっていますが、「1日1回1カプセルだけの服用」と規定されています。(医療用医薬品においては「通常、成人にはロキサチジン酢酸エステル塩酸塩として1回75mg1日2回の投与(なお、年齢、症状により適宜増減)」となっている)

 

上記の例からわかるように市販薬で販売されているH2ブロッカーの成分量が医療用医薬品としての製剤よりも少ない(もしくは規格は同様でも1日の使用量が医療用医薬品に比べて少なく規定されている)ものになっています。

これは医療用医薬品が主に消化性潰瘍や逆流性食道炎などのように医療機関に受診し治療していく病気などへの治療薬であるのに対し、市販薬が主に一時的な症状などの緩和・改善などに対しての治療薬であることをあらわしています。このことは市販のH2ブロッカー製剤に「3日間服用しても症状の改善がみられない場合は、服用を止めて、医師又は薬剤師に相談する」などの記載があることからもわかります。

すなわち市販のH2ブロッカーなどを3日間飲んで症状が改善しない場合は消化性潰瘍や逆流性食道炎である可能性も考えられ、その場合は市販薬では改善が難しく、医療機関への受診が必要であるかもしれないのです。

 

ちなみに今回紹介した市販薬のH2ブロッカー製剤はいずれも「第1類医薬品」としてリスク分類されており、購入に際し薬剤師からの説明や書面による情報提供を受けることなどが必要な薬となっています。

「胃痛」ひとつとっても様々な原因が考えられ、市販薬で緩和できる場合もあれば、医療機関に受診した方がよい場合もあるかもしれません。すぐ病院に行く程ではない(?)と思うけど胃が少し気になる…などの症状がある場合はまずは薬局やドラッグストアなどで薬剤師に相談してみてはいかがでしょうか。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


MEDLEYニュース新着記事