2015.11.14 | ニュース

インフルエンザワクチンの効果を減らす薬とは?

アメリカの研究チームが高齢者7000人を分析

from The Journal of infectious diseases

インフルエンザワクチンの効果を減らす薬とは? の写真

薬と食べ物の組み合わせで効果が半減するように、インフルエンザワクチンにもそのような組み合わせがあるかもしれません。今回の研究では、インフルエンザワクチンを接種した患者を対象に、その効果の程度にどのような要因が関連していたか検証しました。

◆インフルエンザワクチンの効果とスタチンの関係は?

スタチンという種類の薬には血液中のコレステロール値を下げる効果があり、脂質異常症(高脂血症)の治療に使われます。また、スタチンが感染症も防ぐという説があります。

今回の研究では、過去に行われたインフルエンザワクチンの臨床試験に参加した6,961人のデータを解析することで、インフルエンザワクチンの効果に対するスタチンの影響を検証しました。

 

◆スタチンを飲んでいた人はインフルエンザウイルスに対する抗体値が低かった

以下の結果が得られました。

慢性的にスタチン治療を受けていた人では、受けていない人と比べて、インフルエンザA(H1N1型)、A(H3N2型)、B型に対する赤血球凝集抑制反応GMTを比較すると、抗体価はそれぞれ38%(95%信頼区間27%-50%)、67%(95%信頼区間54%-80%)、38%(95%信頼区間28%-29%)低かった。

スタチンを飲んでいた人では、ワクチン接種のあとに体で作られる、インフルエンザウイルスに対して働く抗体が少ないという結果でした。

 

今回の研究のみからでは、この関連性がスタチンによってワクチンの効果が妨げられたためなのかどうかに言及することはできません。しかし、ワクチンの効果が十分に得られるために何が重要なのか、今後新しい情報が加わる可能性もあるので、見守っていく必要があります。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Influence of Statins on Influenza Vaccine Response in Elderly Individuals.

J Infect Dis. 2015 Oct 28

[PMID: 26516142]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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