2015.10.05 | ニュース

インフルエンザワクチンはインフルエンザを予防できるか?

メタアナリシスにより検証

from The Lancet. Infectious diseases

 インフルエンザワクチンはインフルエンザを予防できるか? の写真

もう少しするとインフルエンザの予防接種を考え始める時期になります。今回は、インフルエンザワクチンはインフルエンザの予防に有効であるか検証した2012年の論文を紹介します。

今回の研究は、31件の論文(17のランダム化比較試験と14の観察研究)をまとめ、インフルエンザワクチンの有効性を検証しました。選んだ論文は、3価不活化ワクチンと3価弱毒生ワクチンの効果を検証した論文としました。

 

インフルエンザウイルスのどや気管、気管支、肺などに感染し、発熱や咳、鼻水などの症状を起こすウイルスは、細かく分類すると多くの種類に分かれ、毎年違う種類のウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効であるが流行します。その種類に対応してワクチンの種類も違うので、予防接種にはその年に流行するウイルスの種類を予測してワクチンが選ばれます。予測されていなかったウイルスの感染は、ワクチンでは予防できないと考えられます。

この研究で調べた3価ワクチンは、3種類のインフルエンザウイルスを予防の対象としたものです。不活化ワクチンと弱毒生ワクチンのうち、日本では主に不活化ワクチンが使われています。

 

ワクチンの効果を検証したランダム化比較試験による結果において、有効であったという報告の数は、18歳から65歳の人を対象とした不活化ワクチンの研究では12シーズンのうち8シーズン、6か月から7歳の子どもを対象とした弱毒生ワクチンの研究では12シーズンのうち9シーズンでした。

さらに、観察研究によるワクチンの効果を検討すると、以下の結果が得られました。

ワクチンの効果は季節性インフルエンザに対しては変動があり、9件の研究で17の解析中、6つ(35%)が、外来または入院中の患者において医学的処置を受けたインフルエンザ有意データを分析して導かれた結果が、偶然ではなく「意味が有る」必然的な値であると推測できることに予防したことを示した。

研究によってインフルエンザワクチンの効果は異なり、それらをすべて合わせると、17の解析結果中、6つの解析で効果があるという結果でした。

筆者らは、「よりインフルエンザに関連した疾病発生や死亡率を減らすためには、臨床的に効能および効果が改善された新しいワクチンが必要である」と述べています。

 

インフルエンザの予防接種は、ランダム化比較試験をまとめた結果では、70%程度の解析結果で効き目ありとしている一方、観察研究をまとめた結果では、35%の解析結果で効き目ありとしていました。

シーズンによって効果が異なる理由は、前年度の型から予測して当年度のワクチンを生成するため、当たり外れがあるということも考えられます。日本では2015年-2016年のシーズンから、以前の3価ワクチンよりも多くの種類のウイルスを予防する狙いで、4価ワクチンが使われます。

ワクチンの効果は絶対ではありませんが、このように研究がなされ、さらに改善に向けた試みがいまも続けられています。

 

本文小見出しにあった「季節によっては有効である」という表現が誤解を招くと考えたため、「年度によっては有効である」と訂正しました。

文中の「シーズン」という言葉は、暦年をまたいだ一冬の期間を指します。

執筆者

Shuhei Fujimoto


参考文献

Efficacy and effectiveness of influenza vaccines: a systematic review and meta-analysis.

Lancet Infect Dis. 2012 Jan

[PMID: 22032844]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]