◆腹腔鏡下で行う胆嚢摘出術の有効性を検証
腹腔鏡下手術は、おなかに小さな切り口を開いて腹腔鏡という内視鏡の一種を挿入して行う手術です。
胆嚢摘出が必要と見られた49人の患者を、手術を腹腔鏡下で行う群と開腹して行う群にランダムに分けました。 入院期間、病気休暇の期間などを評価し、効果を検証しました。
◆腹腔鏡下で手術を行うと入院期間、病気休暇の期間が短くなる
以下の結果が得られました。
入院期間の中央値(範囲)はOCよりもLC後に有意に短く、4.5日(2-19日)と比べて2.0日(1-15日)であった(p<0.01)。 状態不良の期間もOCよりもLC後で短く、29日(4-34日)と比べて14日(7-17日)であった(p<0.01)。
腹腔鏡下で胆嚢摘出術を行うと、入院期間や病気休暇の期間がより短くなるという結果でした。また、術後の痛みや肺機能も腹腔鏡下で行った方が結果が良好でした。
このような結果も報告されている一方で、手術に付随して起こる可能性がある問題(合併症)にも注意が必要です。それらの報告も踏まえて、『胆石症診療ガイドライン』では、「胆嚢結石例は一般には無症状例を除き胆嚢摘出術の適応になる。その際、腹腔鏡下手術に十分な経験を有する施設では、胆嚢癌の疑いのある症例、一般的には妊娠例を除き、腹腔鏡下胆嚢摘出術が第一選択の術式となる」と記載されています。
執筆者
Laparoscopic or open cholecystectomy: a prospective randomised trial to compare postoperative pain, pulmonary function, and stress response.
Eur J Surg. 2000 May
[PMID: 10881952]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。