◆両手協調運動課題(BCT)を用いて幻肢を自分で動かすイメージを評価
BCTは、幻肢痛が見られる手で円を描きながら(円を描くイメージを持ちながら)、正常な手で直線を描く課題で、幻肢を自分で動かすイメージの強さを評価する手法です。幻肢を動かすイメージが強いと、正常な手で描く直線は直線からずれて曲がります。
腕神経叢引き抜き損傷という神経の損傷によって幻肢痛が現れている患者9人を対象に、BCTを行い、幻肢を自分で動かすイメージと幻肢痛の強さの関連性を検証しました。
◆幻肢痛と幻肢を自分で動かすイメージは関連する
以下の結果が得られました。
幻肢痛の強さとOIの間に有意な負の相関が認められた(r=-0.66、p<0.05)。
幻肢を動かすイメージが強く、直線がより曲がった人ほど、幻肢痛が弱いという結果でした。
筆者らは、「我々の知見は直接的に、幻肢の構造的な運動表象は、幻肢痛を緩和するために必要であることを示唆している」と述べています。
幻肢痛に悩まされる人は多いですが、その痛みの原因や有効な治療法は検証段階です。
今回の研究では、関連する要因として、幻肢の運動をよりイメージできていることが挙げられました。今後の検証により、幻肢痛が生まれるしくみを解明し、治療法を確立させるための研究の中で、何かの手がかりになるかもしれません。
執筆者
Structured movement representations of a phantom limb associated with phantom limb pain.
Neurosci Lett. 2015 Aug 10
[PMID: 26272300]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。