2015.06.22 | ニュース

アルツハイマー型認知症は脳への磁気刺激で改善する!?

ランダム化比較試験による検証
from Journal of neurology
アルツハイマー型認知症は脳への磁気刺激で改善する!? の写真
(C) agsandrew - Fotolia.com

アルツハイマー型認知症は、日本で診断される認知症のうち約半分を占めると言われています。しかし、有効な治療は確立されていません。今回の研究では、そのアルツハイマー型認知症患者に対して、反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)という頭への磁気刺激を適用したところ、認知機能などの健康状態が改善したという結果を示しました。

◆アルツハイマー型認知症患者を3群に分類し、反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)の効果を検証

今回の研究は、以下の方法で実施されました。

45名のアルツハイマー型認知症患者を3群に振り分けた。

2群は背外側前頭前野にrTMSを行う群(ひとつは20Hz、もう一方は1Hzで実施)、1群は偽刺激を行う群とした。

すべての患者が1日1回の治療を連続で5日間、まず右側の背外側前頭前野に、その後すぐに左側の背外側前頭前野にrTMSを受けた。

Mini Mental State Examination (MMSE)、Instrumental Daily Living Activity (IADL) scale、the Geriatric Depression Scale (GDS)を治療前後、治療後1、3ヶ月で評価した。

45名の患者を、20HzのrTMS(高頻度のrTMS)を実施する群、1HzのrTMS(低頻度のrTMS)を実施する群、偽刺激群の3群に分け、治療前後の認知機能(MMSE)、手段的日常生活動作能力(IADL、例えば、買い物に行く、電話を使用する能力、など)、うつの程度(GDS)に対する効果を検証しました。

また、認知症の重症度を軽度および中等度の群と重症の群に分けて解析しました。

 

◆高頻度のrTMSが認知機能、手段的日常生活動作能力、うつの程度すべてに効果的

調査の結果、以下のことが示されました。

治療前では、いずれの群でもすべての評価に有意な差は認められなかった。

高頻度のrTMSを実施した群では、低頻度のrTMSを実施した群、偽刺激群と比較して、すべての評価(MMSE、IADL、GDS)が、治療後の評価時点すべてで有意に改善した。

軽度から中等度のアルツハイマー型認知症の患者では、高頻度のrTMSを実施することで認知機能、手段的日常生活動作能力、うつの程度のすべての指標で、統計的に有意な改善が認められました。

これらの結果から筆者らは、「アルツハイマー型認知症に対する治療として高頻度の反復TMSが有用である可能性」を示唆しています。

 

アルツハイマー型認知症に有効な治療方法は検証段階のものが多いです。今回の結果のみでは確かな効果がわかったとは言い切れませんが、今後このような治療法による検証が進むことで、アルツハイマー型認知症が改善されるような時代が早く来て欲しいものです。

執筆者

MT

参考文献

Effects of low versus high frequencies of repetitive transcranial magnetic stimulation on cognitive function and cortical excitability in Alzheimer's dementia.

J Neurol. 2012 Jan

[PMID: 21671144]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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