2017.01.19 | ニュース

地雷で手足を失い、ないはずの場所が痛む「幻肢痛」を脳刺激で治療

54人の治療で検証
from The journal of pain : official journal of the American Pain Society
地雷で手足を失い、ないはずの場所が痛む「幻肢痛」を脳刺激で治療の写真
(C) sakkmesterke - Fotolia.com

手足を切断した人には、なくなったはずの場所に痛みを感じる幻肢痛という症状が出ることがあります。治療が難しい症状ですが、脳に磁気刺激を与える方法で効果が見られたことが報告されました。

アメリカのハーバード大学の研究班が、地雷被害のあと幻肢痛が残っている患者54人を対象に、反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)という治療法の効果を調べ、結果を専門誌『Journal of Pain』に報告しました。

rTMSは、磁気を用いて頭皮上から脳を反復して刺激することで、脳の活動を変化させることができる手法です。高い周波数で行うと脳活動を促進(高頻度)、低い周波数で行うと脳活動を抑制(低頻度)することが知られています。

対象者はランダムに2グループに分けられました。

  • 10Hzの高頻度rTMSを毎日20分ずつ10日間行うグループ
  • 偽の治療を行い、磁気刺激は与えないグループ

 

次の結果が得られました。

rTMSの実治療により、偽刺激よりも治療後15日での痛みの強さ(VASスコア)が有意に大きく減少した(-53.38 ± 53.12% vs -22.93 ± 57.16%、群間の平均差30.44%、95%信頼区間0.30-60.58、P=0.03)。

磁気刺激を行ったグループのほうが、平均して痛みの強さが軽くなりました。治療後30日では効果が見られなくなっていました。

研究班は「これらの結果から、地雷の爆発による幻肢痛の患者に対してrTMSは安全で効果的な治療法であることが示された」と結論しています。

 

幻肢痛の治療法としてrTMSを選択肢に加えることができるかもしれません。

ここでは地雷の被害者が対象とされましたが、糖尿病などによる足の切断は日本でもかなりの数の人に行われています。幻肢痛にはわかっていない部分も多いですが、治療法の模索が続けられています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Repetitive Transcranial Magnetic Stimulation for Phantom Limb Pain in Land Mine Victims: A Double-Blinded, Randomized, Sham-Controlled Trial.

J Pain. 2016 Aug.

[PMID: 27260638]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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