【要注意:論文取り下げ】
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18歳以上に対する過去の研究
メチルフェニデートを有効成分とする薬には、即時放出型(商品名リタリン)と徐放剤(商品名コンサータ)があります。日本では、効き目が長時間安定するように作られたメチルフェニデート徐放剤がADHDの治療薬として使われ、即時放出型メチルフェニデートは、日中の眠気などの症状を特徴とするナルコレプシーに使われます。
研究班は、過去の研究のうち、18歳以上のADHDの患者に対して、即時放出型メチルフェニデートの効果を偽薬と比べて調べたものを集め、内容を検証しました。
主な症状に効果あり
見つかった11件の研究から、計474人の参加者についての情報をもとに、次の結果が得られました。
多動性アウトカムの標準化平均差は-0.60(95%信頼区間-1.11から-0.09、6件の研究から、参加者数計245人、高い質のエビデンス)で、即時放出型メチルフェニデートを支持した。衝動性の標準化平均差は-6.2(95%信頼区間-1.08から-0.17、5件の研究、207人、高い質のエビデンス)で即時放出型メチルフェニデートを支持した。注意欠如の標準化平均差は-0.66(95%信頼区間-1.02から-0.30、7件の研究、391人、中等度の質のエビデンス)で即時放出型メチルフェニデートを支持した。
最も多い有害事象は食欲減退であり、いくらかの例では体重減少を伴っていた。
5件の研究が収縮期血圧または拡張期血圧の変化を報告し、3件の研究が心拍数増加を報告した。
臨床的に有意義な、心血管疾患やその他の有害事象はどの研究からも報告されなかった。
ADHDの主な症状である多動性、衝動性、注意欠如のいずれについても、即時放出型メチルフェニデートによる効果があると見られました。副作用の可能性があることとして、食欲減退が多かったほか、血圧と心拍数の変化が報告されていましたが、狭心症のような重要な問題の報告はありませんでした。
即時放出型メチルフェニデートとメチルフェニデート徐放剤は用途と用法が違いますが、今後検討されるうえで、この結果が判断材料とされうるかもしれません。
執筆者
Immediate-release methylphenidate for attention deficit hyperactivity disorder (ADHD) in adults.
Cochrane Database Syst Rev. 2014 Sep 18
[PMID: 25230710]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。