大人のADHDの治療に、新薬ダソトラリンは有望か?
注意欠如・多動性障害(ADHD)は子どもに見つかることで知られていますが、成人しても症状がある人がいます。治療薬として新しいタイプのダソトラリンという薬の研究が行われました。
◆成人患者を対象に、量を変えてダソトラリンで治療
この研究では、ADHDの診断基準を満たした成人の患者が対象となり、4週間の治療を受けました。対象者はランダムに3つのグループに分けられ、ダソトラリン1日1回4mgを使う群、1日1回8mgを使う群、偽薬を使う群とされました。
◆症状スコアに改善、副作用に不眠など
次の結果が得られました。
4週時点でADHD RS-IVの総スコアにおける改善の最小二乗平均は、偽薬群よりもダソトラリン8mg/日の群で
有意 に大きかった(-13.9 vs -9.7、P=0.019)[...]。最も頻繁に報告された有害事象は不眠、食欲減退、吐き気、口渇だった。治療による有害事象のため治療中止に至った例は4mg/日の群で10.3%、8mg/日の群で27.8%の患者にあった。
4週間の治療後、ダソトラリン8mgを使った群でADHDの症状のスコアに改善が見られました。ほかの尺度ではダソトラリン4mgの群にも改善が見られました。副作用の可能性があることとして、不眠、食欲減退、吐き気、口の中の乾燥などが報告されました。
研究班は「[...]ダソトラリンの1日1回使用が成人のADHDに対する安全で有効な治療となりうる準備的根拠を示した」と結論しています。
ADHDの治療薬として現在使われているものに、ダソトラリンが加わることができるかどうか、今後検討されるうえで、この結果がひとつの根拠となるかもしれません。
執筆者
Dasotraline for the Treatment of Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder: A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Proof-of-Concept Trial in Adults.
Neuropsychopharmacology. 2015 May 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 25948101]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。