ADHDの薬、メチルフェニデートが効かなかったら何に替える?
注意欠如・多動性障害(ADHD)の治療が効きにくい場合があります。集中できない、動き回ってしまうなどの症状をコントロールする目的で、メチルフェニデート、アトモキセチンといった薬が使われますが、これらで十分な効果がない場合もあります。ハンガリーの研究班がメチルフェニデートの効きにくかったADHD患者にリスデキサンフェタミンという薬を試し、アトモキセチンよりもよく症状が改善されたことを報告しました。
◆アトモキセチンかリスデキサンフェタミンでランダム化
研究班は、ADHDに対してメチルフェニデートの治療で十分な効果が得られなかった6歳から17歳の子どもを対象としました。
対象者はランダムに2つのグループに振り分けられ、一方のグループはアトモキセチンで、もう一方のグループはリスデキサンフェタミンで9週間の治療を受けました。
◆リスデキサンフェタミンの総合スコアがより改善
それぞれの治療から次の結果が得られました。
267人のランダム化された患者のうち、200人が試験を終えた(リスデキサンフェタミン群が99人、アトモキセチン群が101人)。
リスデキサンフェタミン群とアトモキセチン群の差は、WFIRS-Pのうち『学習・学校』のスコア(effect size 0.43)、『社会活動』のスコア(0.34)、総合スコア(0.27)について統計的に
有意 だった。どちらの治療もADHDのある子どもと青少年の機能障害を減らし、リスデキサンフェタミンはWFIRS-Pの6部門のうち2部門のスコアと総合スコアにおいて、アトモキセチンよりも統計的に有意に効果が大きかった。
アトモキセチンのグループでも、リスデキサンフェタミンのグループでもADHDの
リスデキサンフェタミンの効果を示唆する結果が出ていますが、日本ではメチルフェニデート、アトモキセチンがADHDの治療に使われているものの、リスデキサンフェタミンは承認されていません。副作用として身体症状や精神症状が起こりうるという報告もあります。もし将来日本で使えるようになれば、効果とリスクの比較について議論が起こるかもしれません。
執筆者
Functional outcomes from a head-to-head, randomized, double-blind trial of lisdexamfetamine dimesylate and atomoxetine in children and adolescents with attention-deficit/hyperactivity disorder and an inadequate response to methylphenidate.
Eur Child Adolesc Psychiatry. 2015 May 22. [Epub ahead of print]
[PMID: 25999292]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。