ADHDの治療に睡眠指導が効果あり
注意欠如・多動性障害 (ADHD) の子どもには睡眠に問題が起こることがあります。オーストラリアの研究で、子どもの睡眠障害を改善するために考え出された行動療法的治療が、子どものADHDの症状を改善し、家族にもよい影響があったと報告されました。
◆大部分は薬物治療中の244人が対象
研究班は、オーストラリアのビクトリア州の21の施設で、5歳から12歳のADHDの子ども244人を、2010年から2012年にかけて追跡しました。そのうち211人は薬物で治療中でした。
対象者は介入グループと対照グループに分けられ、介入グループにはもともとの治療に加え、臨床心理士または小児科医によって、2週間を挟んで計2回、対面で睡眠習慣の指導と行動改善の治療が行われたうえ、さらに2週間後に電話でフォローアップが行われました。
◆6か月後まで改善効果あり
睡眠指導から3か月後と6か月後にADHDの症状を調べたところ、介入グループでは対照グループに比べて3か月後、6か月後とも症状がより軽くなっていました。
また、対照グループでは中等度から重度の睡眠障害が3か月後に56%、6か月後に46%あったのに対して、介入グループでは3か月後で30%、6か月後では34%に減っていました。
介入グループでは、対照グループと比べて、教師が評価する症状、作業記憶、子どもと家族の生活の質などに改善が見られました。
研究班は、この治療が有効だったと結論しています。もし睡眠指導がADHDの治療を助けるなら、ADHDの患者さんやそのご家族にとっては朗報かもしれません。実際にADHDを治療の中で、睡眠に関する指導は行われているものなのでしょうか?
執筆者
Impact of a behavioural sleep intervention on symptoms and sleep in children with attention deficit hyperactivity disorder, and parental mental health: randomised controlled trial.
BMJ. 2015 Jan 20
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。