2015.09.08 | ニュース

ミラーセラピーによって脳卒中後の麻痺した手、腕の機能が改善

ランダム化比較試験による検証

from European journal of physical and rehabilitation medicine

ミラーセラピーによって脳卒中後の麻痺した手、腕の機能が改善の写真

ミラーセラピーとは、片手に麻痺がある人の治療のひとつで、鏡越しに麻痺していない手の動きを観察し、麻痺した手が動いていると錯覚させ、脳の活動を促すことで、腕の機能改善を図る方法です。ミラーセラピーを脳卒中の治療に使う研究が行われました。

◆ 脳卒中患者26名を対象に検証

脳卒中患者26名を、ミラーセラピー群と対照群にランダムに振り分け、効果を検証しました。ミラーセラピー群には、通常のリハビリテーション訓練に加え、30分間のミラーセラピーが実施されました。対照群には、鏡の表面を紙で覆った状態で、ミラーセラピー群と同様の追加訓練が行われました。

治療効果として、手や腕の運動機能や日常生活に必要な介助量を評価しました。

 

◆ 手や腕の運動機能や日常生活動が改善

1ヶ月の治療後、ミラーセラピー群は、対照群と比較し、手や腕の運動機能や日常生活に必要な介助量がより大きく改善しました。詳細は以下の通りです。

[...]ミラーセラピー群の患者は、ARAT、MIとFIMの値が対照群と比べてより大きく改善した(P<0.01, Glass’sΔ 効果量: 1.18)。

研究チームは、「ミラーセラピーは、急性期において運動機能がない、または無視できる患者に使用が提唱されていたが、部分的に運動機能に回復がみられている患者にも適用可能である。さらに、実施の容易さと低コスト、受け入れやすさは、ミラーセラピーを脳卒中リハビリテーションにおける有用なツールにする。」と述べています。

 

この結果だけで断定はできませんが、ミラーセラピーは、脳卒中患者の手、腕の機能改善を目的とした治療法における有用な選択肢の一つとなるかもしれません。

執筆者

高士 直己

参考文献

The value of adding mirror therapy for upper limb motor recovery of subacute stroke patients: a randomized controlled trial.

Eur J Phys Rehabil Med. 2013 Jun

[PMID: 23480975]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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