膝の痛みには膝の運動だけではなく、股関節、体幹のトレーニングも行うと良い
女性アスリートにもよく見られる膝の痛みは、後に変形性膝関節症につながるリスクがあると言われています。今回の研究は、膝の痛みに対して有効なトレーニングとして、運動の仕方を学習するプログラムの有効性を検証しました。
◆通常トレーニング群と運動の仕方を学ぶ群の2群に分類
膝に痛みを抱える31名の女性アスリートを、通常トレーニング群と運動の仕方を学ぶ群の2群にランダムに分け、膝の痛みに対するトレーニングの効果を検証しました。
通常トレーニング群は、ストレッチや膝の筋力トレーニングを行いました。運動の仕方を学習する群では、股関節や体幹のトレーニングや身体の動かし方をトレーニングしました。どちらも8週間の治療を行いました。
◆運動の仕方を学ぶ群で膝の痛みが改善
以下の結果が得られました。
FST群の患者は、通常トレーニング群の患者と比較して、3ヶ月の追跡時点で痛みが減少し、介入の終了時点では全体的な改善と身体機能がより大きく改善した。
運動の仕方を学習するトレーニングを行うと、膝に関する通常のトレーニングを行うよりも、膝の痛みがより改善しました。
筆者らは、「股関節の筋力強化や下肢と体幹の運動制御エクササイズで構成される介入プログラムは、大腿四頭筋の筋力強化のみの運動プログラムと比較して、痛み、身体機能、運動学、筋力の改善に対してより有益であった。」と結論付けています。
膝が痛いからと言って膝の運動だけをするのではなく、股関節や体幹の運動や身体の動かし方を学習することで、膝の痛みがより改善するという論文でした。
身体の動かし方は人によって癖があり、その癖がケガや関節への負担につながることがよくあります。筋トレやストレッチを行うことも重要ですが、「身体の動かし方」という点に着目して運動することもひとつのポイントなのかもしれません。
執筆者
Effects of functional stabilization training on pain, function, and lower extremity biomechanics in women with patellofemoral pain: a randomized clinical trial.
J Orthop Sports Phys Ther. 2014 Apr
[PMID: 24568258]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。