2015.09.01 | ニュース

麻疹(はしか)に感染した子どもに発生、亜急性硬化性全脳炎とは

5歳男児の症例報告
from Case reports in pediatrics
麻疹(はしか)に感染した子どもに発生、亜急性硬化性全脳炎とはの写真
(C) khuntapol - Fotolia.com

子どもに多い麻疹はワクチンで予防できますが、発症した場合、まれに数年経ってから亜急性硬化性全脳炎という重い脳の病気が起きることがあります。トルコの研究班から、麻疹ワクチンを受けていなかった男の子の症例が報告されました。

◆8か月で麻疹の症状

この男の子は、出産時に異常はありませんでしたが、生後2か月でジフテリア破傷風百日咳三種混合ワクチンの接種を受けた翌日に熱性けいれんがあり、てんかん重積状態と見られました。麻疹の予防接種は受けていませんでした。8か月で麻疹と思われる発疹結膜炎の症状が起こりました

 

◆5歳で診断

てんかんの薬で治療が行われましたが、年に数回程度のてんかん発作が繰り返されました。5歳で認知機能の問題とミオクローヌス(筋けいれん)の症状が見られました。脳波の特徴から亜急性硬化性全脳炎が疑われ、繰り返すてんかん発作の症状が典型的ではないものの、脳脊髄液の抗麻疹ウイルス抗体が高いことと症状を考え合わせて亜急性硬化性全脳炎と診断されました。

 

亜急性硬化性全脳炎はきわめて治療が難しく、根治療法は確立されていません。この男の子に麻疹を予防するチャンスがあったかは明らかとは言えないかもしれませんが、麻疹の予防接種にはこうした状況を防ぐという意味合いもあります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Subacute sclerosing panencephalitis in a child with recurrent febrile seizures.

Case Rep Pediatr. 2015

[PMID: 25802788] http://www.hindawi.com/journals/cripe/2015/783936/

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。