2015.07.20 | ニュース

CTに写っていた動脈の石灰化を見て、15年後の死亡率を推定

1万人の観察研究

from Annals of internal medicine

CTに写っていた動脈の石灰化を見て、15年後の死亡率を推定の写真

動脈硬化が進むと、血管の壁に石灰化という変化がCTなどの画像で見られるようになります。アメリカの研究班が、動脈石灰化のスコアによって、その後15年間の死亡率を正確に予測できたことを報告しました。

◆冠動脈石灰化スコアで予測

研究班は、心臓を取り囲む冠動脈の石灰化に注目しました。冠動脈の動脈硬化が進むと狭心症などの冠動脈疾患の原因になり、また全身の動脈硬化の目安になると考えられています。冠動脈疾患の症状がない9,715人の参加者について、冠動脈石灰化を一定の基準によるスコアで評価し、その後の死亡率との関連を統計解析で調べました。

 

◆15年死亡率と関連あり

次の結果が得られました。

15年全死因死亡率はCACスコア0のときの3%から、CACスコア1000以上のときの28%(P<0.001)まで開きがあった。

冠動脈石灰化スコアが最も低い0のとき、その後15年間の死因を問わない死亡率は3%でした。対して、冠動脈石灰化スコアが1000以上のときは28%にまで高くなっていました

研究班は「冠動脈石灰化の程度は、無症状の患者の大きなコホートにおいて、15年死亡率を正確に推定する」と結論しています。

 

冠動脈石灰化スコアが総合的な評価として役に立つかもしれません。動脈硬化に関わる糖尿病や高血圧の治療方針を決める上でどんな位置付けが与えられるのか、実際の治療に即した応用に期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Long-Term Prognosis After Coronary Artery Calcification Testing in Asymptomatic Patients: A Cohort Study.

Ann Intern Med. 2015 Jul 7

 

[PMID: 26148276]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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