◆地域ごとの割合が基準
研究班は、アメリカの547の地域について、スクリーニング(病気を見つけ出す検査)としてマンモグラフィーを受けた女性の割合と乳がんによる死亡率の関連を調べました。対象地域の40歳以上の女性16,120,349人についての情報から、地域ごとにマンモグラフィーを受けた人の割合を計算し、統計解析を行いました。
◆死亡率と相関なし
解析から次の結果が得られました。
全米にわたって、スクリーニングの程度と乳がんの発症率には正の相関があったが(加重相関係数0.54、P<0.001)、乳がんによる死亡率とは相関がなかった(加重相関係数0.00、P=0.98)。
対象とした547の地域のうちで、マンモグラフィーを受けた人の割合が高い地域では多くの乳がんが見つかっていましたが、乳がんによる死亡率とは相関関係が見られませんでした。
死因になりやすい大きいがんを見つけるには触診などほかの方法も有効で、マンモグラフィーでなければ見つからないがんは死亡につながりにくかったのかもしれません。
マンモグラフィーの使い方として、乳がんが特に疑われる人を詳しく調べるためではなく、スクリーニングのために全人口を対象に定期的に検査を行うことが勧められるかどうかは、最近しばしば議論されています。この結果もひとつの材料になっていくかもしれません。
スクリーニング検査についての研究はほかにも紹介しています。関心のある方はあわせてご覧ください。
「マンモグラフィーに意味はあったのか」
http://medley.life/news/item/5543561b05c72afe00009147
「死亡率を下げるスクリーニング検査は「39種類のうち4種類」」
http://medley.life/news/item/553f428ce5425fdb00173543
「マンモグラフィーよりも乳がんを見つけやすい新たな画像検査」
http://medley.life/news/item/555b2ab059747e1501e633b0
執筆者
Breast Cancer Screening, Incidence, and Mortality Across US Counties.
JAMA Intern Med. 2015 Jul 6 [Epub ahead of print]
[PMID: 26147578]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。