2017.02.25 | ニュース

マンモグラフィーで乳がんを早期発見しても大きいがんは減らなかった

デンマーク1980年から2010年の統計

from Annals of Internal Medicine

マンモグラフィーで乳がんを早期発見しても大きいがんは減らなかったの写真

マンモグラフィーは乳がんを発見する高い性能があります。早期治療が良い結果につながると考えられます。しかし、誰が何年ごとに検査するべきかは意見に幅があります。実際の統計データをもとに、過剰診断があるとする報告が出されました。

デンマークとノルウェーの研究班が、マンモグラフィーX線(レントゲン)を用いて、乳房にがんがないかを調べる検査による乳がん検診の効果についての研究を『Annals of Internal Medicine』に報告しました。

この研究は、症状などがない人も対象に含む乳がん検診(スクリーニング病気の原因や程度ではなく、病気が有るか無いかをまず調べるための検査)の効果を調べています。

検討のため、デンマークの1980年から2010年の統計データが使われました。デンマークでは、1980年から2010年の間に、地域ごとに違う時期から乳がんのスクリーニングが始まりました。スクリーニングでは50歳から69歳の女性を対象として2年に1回のマンモグラフィーが行われました。

 

統計解析から次の結果が得られました。

スクリーニングは進行腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類されるの新規発生率低下と関連しなかった。スクリーニングでは非進行腫瘍の新規発生率はスクリーニング以前の時期と比べて増加した(発生率比1.49、95%信頼区間1.43-1.54)。

スクリーニングを始める前の時期と比べて、スクリーニング開始後は大きさ2cm以下の小さい乳がんが見つかる数が増えました。早期発見によって大きい乳がんの発生を予防できたかどうかを比べたところ、スクリーニングの有無によって、2cmを超える大きい乳がんの発生率に統計的な違いが見つかりませんでした

 

マンモグラフィーによるスクリーニングで大きい乳がんを予防する効果が確かめられなかったという報告を紹介しました。

マンモグラフィーは非常に性能の高い検査です。症状などから乳がんの疑いがある人を詳しく調べるにはマンモグラフィーがほぼ必須です。

しかし、誰でも検査すればするほどいいとは言えません。

乳がんと疑わしいものが見つかったとき、実は放っておいても害のない良性病気の中でも、相対的に経過が悪くないもの。多くの場合、腫瘍をつくる病気に対して、悪性腫瘍と対比させるために使われる用語のものだったとしても、結果として必要の薄い手術で乳房を切り取ることになる可能性もあります。

特に若い人では死亡に直結するほどの乳がんは少数です。国立がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある研究センターがん情報サービス「がん登録・統計」によれば、2015年の乳がんによる死亡者数のうち40歳未満の人は2%程度です

学会などでは、若い人には乳がんが少ないことを考えに入れたうえで、検診を勧める年齢を提言しています。日本乳癌学会による「乳癌診療ガイドライン治療や検査の場面において、医療従事者や患者が、適切な判断や決断を下せるように支援する目的で体系的に作られた文章のこと」(2015年版)では、「40歳代女性に対して行われるマンモグラフィ検診も勧められる」としています。

一方、アメリカの政府機関である米予防医学作業部会(USPSTF)は、「50歳から74歳の女性に対して2年に1回のスクリーニングマンモグラフィーを勧める」としています。

ここで紹介したデンマークの方針では、USPSTFよりもさらに対象年齢を絞っていますが、結果は大きい乳がんが減っていないというものでした。デンマークの方針をどう評価するか、ほかの観点からも合わせて再検討する余地があるかもしれません。

乳がんの発生率は国によっても違います。人種や生活習慣の違いが影響すると考えられます。その他さまざまな要因から、この報告が日本にはそのまま当てはまらない可能性もあります。とはいえ、乳がん検診をすればするほどいいとは言えないことは世界的に共通認識となっています。

検診を受けようと思ったときは、自分の年齢や背景が検診に向いているか、またもし疑わしいものが見つかったらどうするかなどもあらかじめ考えてみてください。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Breast Cancer Screening in Denmark: A Cohort Study of Tumor Size and Overdiagnosis.

Ann Intern Med. 2017 Jan 10. [Epub ahead of print]

http://annals.org/aim/article/2596394/

*本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]