◆悪性黒色腫がある人とない人を比較
研究班は、スウェーデンの悪性黒色腫の患者4,065人と、生年を一致させて選んだ、悪性黒色腫のない対照群20,325人について、主なPDE5阻害薬のシルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルを処方されたかを調べて統計解析しました。
◆基底細胞がんもリスク増
解析から次の結果が得られました。
悪性黒色腫4,065例のうち、435人(11%)の男性がPDE5阻害薬の処方を受けており、対照群では20,325人中1,713人(8%)だった。
リスク推定量はシルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルについて類似していた。PDE5阻害薬の使用は、基底細胞がんのリスク増加とも関連していた(オッズ比1.19、95%信頼区間1.14-1.25、基底細胞がん患者のうち9%に対して対照群の8%)。PDE5阻害薬を使用していた男性は教育水準と年収が高く、これらの因子は悪性黒色腫のリスクとも同様に有意に有意に関連していた。
PDE5阻害薬を処方された人に悪性黒色腫が多く、基底細胞がんも多くなっていました。
PDE5阻害薬と皮膚がんの両方に、教育水準と年収も同様に相関関係があったことから、関連の一部は社会背景が原因と説明できる可能性があります。また、勃起不全は脳梗塞などほかの病気の結果として起こる場合もあり、それらと皮膚がんの関係も考察する価値はありそうです。
どこに原因があるにせよ、PDE5阻害薬を使っている人が皮膚がんに注意することは、この結果に対して間違っているとは言えません。
なお、悪性黒色腫についてのほかの研究も以前に紹介しました。関心のある方はあわせてご覧ください。
「皮膚がんの自己早期発見を目指して、悪性黒色腫患者に自己検査の訓練プログラムの試み」
http://medley.life/news/item/55895084f034c8fa00d1a02a
執筆者
Use of Phosphodiesterase Type 5 Inhibitors for Erectile Dysfunction and Risk of Malignant Melanoma.
JAMA. 2015 Jun 23-30
[PMID: 26103029]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。