子どもを寝かせる道具としてチャイルドシートを利用するのは危険

子どもの事故死はさまざまな場所で起こります。チャイルドシートやベビーカーで寝かせたり座らせたりしているときも事故はありえます。アメリカの研究班が、子どもを運ぶ道具に乗せていたときの死亡例を調査した結果、チャイルドシートでの死亡が最も多く、そのうち過半数はシートベルトによる窒息だったことを報告しました。
◆子どもの死亡例の調査
研究班は、2004年から2008年に米国消費者製品安全委員会に報告された子どもの死亡例を集計し、詳しく調べました。
◆47人中31人がチャイルドシート
調査から次の結果が得られました。
分析された47人の死亡のうち、31人はチャイルドシートで、5人は背負いひもで、4人がブランコ、4人がバウンサーで、3人がベビーカーで死亡していた。
死因は1人を除いてすべて窒息だった。チャイルドシートでの死亡の52%が、ベルトによる絞窄によるものと見られた。そのほかは体位性窒息によると見られた。
当てはまった死亡例として47人の子どもの報告が見つかり、そのうち31人はチャイルドシートで死亡し、うち52%ではベルトで締め付けられたことによる窒息が死因と見られました。
子どもがこれらの道具の上にいた理由がわかったケースのうち、17件では子どもを寝かせるため、5件では車で移動するためとされていました。
研究班は「新生児と2歳以下の子どもは、道具で運んだり座らせたりするときには適切に固定し、目を離したままにしないようにするべきである。チャイルドシートは自動車の外で寝かせる場所として使うべきではない[...]。」と警告しています。
これはアメリカで起こった事故の報告で、日本とは一致しない部分もあるかもしれませんが、チャイルドシートの事故が多いことは参考になるかもしれません。車に乗せるためではなく寝かせる場所としてチャイルドシートを使っていた例も報告されていますが、この論文が指摘するとおり危険な使い方と言えるかもしれません。チャイルドシートを使うときには、ベルトで遊ばせないなど、万一の事故を頭に置いて、安全にご注意ください。
執筆者
Hazards Associated with Sitting and Carrying Devices for Children Two Years and Younger.
J Pediatr. 2015 Jul
[PMID: 25917769]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。