2015.06.30 | ニュース

健康な皮膚の細胞の遺伝子には、既にがんの原因となる変異が多数あった

正常細胞の遺伝子解析
from Science (New York, N.Y.)
健康な皮膚の細胞の遺伝子には、既にがんの原因となる変異が多数あったの写真
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がんの発生と進行には細胞の遺伝変異が密接に関わっていると考えられています。しかし、正常な細胞のDNAが、多くの遺伝変異を含むがん細胞のDNAに変化するまでにどのような過程をたどるのかはよくわかっていません。イギリスのケンブリッジ大学などの研究班が皮膚の正常な細胞を遺伝子解析したところ、発がんの原因と考えられている遺伝変異が正常な細胞にも多数見つかりました。

◆正常な皮膚の細胞を解析

研究班は、4人から取り出した皮膚の組織を使って、がんではない正常な皮膚の細胞の遺伝子解析を行い、がんに関係する遺伝変異を探しました。

 

◆多数のがん遺伝子を発見

解析の結果、DNAに多数の遺伝変異が見つかり、変異の様子には、細胞が紫外線にさらされることによって起こりやすいと考えられているパターンが見出されました。

細胞はがんにはなっていないにも関わらず、がんに関係する遺伝子が高い頻度で見つかりました

 

正常な細胞が長年分裂を繰り返して皮膚を作り続けていく間に、少しずつDNAに変異が積み重なっていくのでしょうか。がんが発生するしくみを解明する上で、重要な手掛かりになるかもしれない研究です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Tumor evolution. High burden and pervasive positive selection of somatic mutations in normal human skin.

Science. 2015 May 22

 

[PMID: 25999502]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。