◆アルツハイマー病のマウスにイチョウの成分を食べさせた
研究班は、遺伝子操作によってアルツハイマー病を発症するようにしたマウスを使って実験を行いました。このマウスでは、アルツハイマー病に特徴的とされるAPPという脳内の物質が通常よりも多く作られ、認知症の症状が現れます。
研究班はアルツハイマー病を発症したマウスに、イチョウから抽出した「EGb761」を2か月または5か月の間食べさせ、症状や脳の様子に変化があるかどうか、またEGb761を与えた期間によって違いがあるかを見ました。
◆5か月で症状改善
Egb761を5か月食べさせた場合に、マウスの認知機能に改善が見られました。2か月では変化がありませんでした。5か月食べさせたマウスの脳内では、炎症反応が抑えられていました。
研究班はこの結果から、「イチョウの抽出物のEGb761による長期間の治療は、臨床的に応用可能であり忍容性良好な植物性薬品として、抗炎症作用とアミロイドβペプチド指向性の機序によって、アルツハイマー病の病理を改善する」と結論しています。
マウスでの結果が人間にも当てはまるかどうかは試してみなければわかりません。実際の患者で症状を抑える効果があれば、新しい治療薬として検討されるかもしれません。アルツハイマー病の治療法には多くの試みがあり、その中から有効なものが見つかってくることが望まれます。
執筆者
Long-term treatment with Ginkgo biloba extract EGb 761 improves symptoms and pathology in a transgenic mouse model of Alzheimer's disease.
Brain Behav Immun. 2015 May
[PMID: 25637484]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。