2015.04.28 | ニュース

背が低い人ほど心臓の病気になりやすい...?

冠動脈疾患65,066例の遺伝子解析より判明

from The New England journal of medicine

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冠動脈疾患とは、狭心症や心筋梗塞など、主に冠動脈が詰まってしまうなど心臓がダメージを受ける病気のことを指します。以前より低身長だと冠動脈疾患の原因である高血圧、脂質異常症、糖尿病になることが多いと言われていました。 今回、身長に関連する遺伝子が発症リスクと関連することをレスター大学の研究グループが報告しました。

◆身長に関連する遺伝子を用い解析

冠動脈疾患の患者65,066人とそうではない128,383人に対して、身長に関係する180の遺伝子を用いて、身長と冠状動脈疾患の発症リスクとそのリスク要因を分析しました。

 

◆身長に関連する遺伝子と発症リスクが関係

その結果、遺伝的な要因によって身長が6.5cm低くなるごとに、冠動脈疾患を発症する割合が13.5%増加することが判明しました。また、身長を高める遺伝子の数と、冠動脈疾患のリスク低減の間にも関係がみられました。

この関係を説明する要因を突き止めるため、さらなる調査を進めたところ、12のリスク要因のうち、有意な関係が見られたのは低密度のリポタンパクコレステロールとトリグリセロールの2つのみで、それによって遺伝的低身長と冠動脈疾患のリスクとの相関の約30%が説明できることがわかりました。

さらに、研究チームは、身長の発達とアテローム性動脈硬化の両方に関係する遺伝子を含む複数の生物学的プロセスを特定しました。

 

遺伝的に決まる低身長とCADのリスク増大に関連があること、それが低身長と血中脂肪の成分の違いによって部分的に説明できることが判明したわけですが、研究チームはさらに「身長の伸びと(冠動脈疾患の原因である)アテローム性動脈硬化症の進行を決定づける、共通の生物学的プロセスがこの結果に関係しているかもしれない」と考察しています。

今回の研究で、身長に関連する遺伝子と冠動脈疾患の関係について様々な結果や考察が提示されましたが、医師の方はこの研究結果をどう思われるでしょうか?

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Genetically determined height and coronary artery disease.

N Engl J Med. 2015 Apr 23

[PMID: 25853659]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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