ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)
体内で還元型葉酸になり、抗がん薬であるフルオロウラシルの抗腫瘍効果を高める効果をあらわす。通常、テガフール・ウラシル配合剤(テガフールは体内でフルオロウラシルに変換される)と併用し、ホリナート・テガフール・ウラシル療法で使用する薬

ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)の解説

ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)の効果と作用機序

  • がん薬であるテガフール(体内でフルオロウラシルに変換される)・ウラシル配合剤の抗腫瘍効果を高める薬
    • がん細胞は無秩序な増殖を繰り返したり転移を行うことで、正常な細胞を障害し組織を壊す
    • 抗がん薬のフルオロウラシル(5-FU)はチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合することでTSを阻害しDNA合成を阻害し抗腫瘍効果をあらわす
    • 本剤は体内でフルオロウラシルの代謝活性物質及びTSと強固な複合体を形成し、フルオロウラシルの抗腫瘍効果を増強する
  • ホリナートカルシウム製剤の中には、葉酸代謝拮抗剤(メトトレキサートなど)の毒性軽減へ使用するものもある

ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)の薬理作用

がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりがない組織でも増殖する。

消化器がんなどで使用される抗がん薬のフルオロウラシル(略号:5-FU)は体内で代謝を受ける(代謝活性物質〔TdUMP〕)と、DNA合成に必要なチミジル酸合成酵素(TS)という酵素と結合し、この酵素活性を阻害することでチミジル酸合成阻害作用によりDNA合成を阻害し結果、細胞の増殖を抑える作用をあらわす。

本剤の成分であるホリナート(dl-ロイコボリン)は体内で活性本体のレボホリナート(l-ロイコボリン)が細胞内で還元され5,10メチレンテトラヒドロ葉酸となりこの物質がTdUMP及びTSと強固な複合体を形成し、TSの解離を遅延させることでこの酵素活性を阻害し、フルオロウラシルによる抗腫瘍効果を増強する作用をあらわす。[本剤自体は抗がん薬ではないが通常、テガシール・ウラシル配合剤(テガフールは体内でフルオロウラシルに変換され、ウラシルはフルオロウラシルの分解阻害作用をあらわす)と併用され、この治療法を「ホリナート・テガフール・ウラシル療法」と呼ぶ。]

また本剤の成分であるホリナートは体内で活性型葉酸となりDNA合成に関わることから、ホリナートカルシウム製剤の中には葉酸代謝拮抗剤であるメトトレキサートなどの毒性軽減を目的として使用するものもある。

ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状(本剤とテガフール・ウラシル配合剤などの抗がん薬併用時)
    • 下痢、食欲不振、吐き気・嘔吐、腹痛、口内炎などがあらわれる場合がある
    • 場合によっては激しい下痢などがおこり脱水症状に至ることもあるため十分注意する
  • 骨髄抑制(本剤とテガフール・ウラシル配合剤などの抗がん薬併用時)
    • 血小板減少、白血球減少、貧血好中球減少などがあらわれる場合がある
    • 発熱、息切れ、出血しやすい、手足に点状出血、あおあざができやすいなどがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 白質脳症(本剤とテガフール・ウラシル配合剤などの抗がん薬併用時)
    • 歩行時のふらつき、口のもつれ、物忘れ、動作緩慢などがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • 肝機能障害(本剤とテガフール・ウラシル配合剤などの抗がん薬併用時)
    • 倦怠感、食欲不振、発熱、黄疸発疹、吐き気・嘔吐、痒みなどがみられ症状が続く場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

ホリナートカルシウム(抗腫瘍効果の増強として)の一般的な商品とその特徴

ロイコボリン錠25mg、ユーゼル錠25mg

  • ホリナート・テガフール・ウラシル療法に関して
    • 通常、結腸・直腸がんで使用する
    • 本剤(ホリナートカルシウム製剤)をテガフール・ウラシル配合剤(ユーエフティー配合カプセル、ユーエフティーE配合顆粒)と併用する
    • この療法は食事の影響を受けるため通常「食事の前後1時間を避けて服用」する
  • ロイコボリンの他規格製剤に関して
    • ロイコボリンには他規格の製剤(ロイコボリン錠5mg、ロイコボリン注3mg)があるがこれらは主に、葉酸代謝拮抗剤(メトトレキサート など)の毒性軽減で使用する