分子標的薬(リツキシマブ〔抗CD20モノクローナル抗体〕)の解説
分子標的薬(リツキシマブ〔抗CD20モノクローナル抗体〕)の効果と作用機序
リンパ球 B細胞 やB細胞性リンパ腫細胞に発現しているCD20抗原というタンパク質に結合し、結合した細胞を破壊(溶解)することでこれらの細胞の増殖を抑える薬
- 本剤は難治性のネフローゼ症候群や特発性血小板減少性紫斑病などの治療に使われる場合もある
- 本剤は特定分子の情報伝達などを阻害することで抗
腫瘍 効果などをあらわす分子標的薬となる
分子標的薬(リツキシマブ〔抗CD20モノクローナル抗体〕)の薬理作用
がん細胞は無秩序な増殖を繰り返し正常な細胞を障害し、転移を行うことで本来がんのかたまりのない組織でも増殖する。
白血球の中のリンパ球の一つであるB細胞は抗体を産生するなどの役割を担っている。B細胞性リンパ腫においてCD20抗原というタンパク質が多くのB細胞性リンパ腫細胞の表面に発現している。
本剤(リツキシマブ)は、B細胞表面のCD20抗原に結合し補体依存性細胞障害作用(CDC)や抗体依存性細胞介在性細胞障害作用(ADCC)によりヒト由来のCD20陽性細胞を破壊(溶解)することで抗腫瘍効果をあらわす。
なお、本剤はB細胞及びB細胞で作られる抗体に関連する多くの病態に対して有用とされる。CD20抗原はリンパ腫細胞以外のB細胞でも存在し、B細胞の機能異常や(リンパ球)T細胞とB細胞の情報伝達異常などでおこる(難治性)ネフローゼ症候群やB細胞の活性化などによっておこるとされる多発血管炎性肉芽腫症などに対しても本剤は治療効果が期待できる。そのほか、ABO血液型不適合の腎移植や肝移植における抗体関連型拒絶反応を抑える目的として使われる場合もある。また2017年には、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療薬としても承認されている。慢性ITPでは抗血小板自己抗体(主にIgG)に感作された血小板が早期に脾臓を中心とした網内系においてマクロファージのFc受容体を介して捕捉、破壊され、血小板減少をきたすとされ、リツキシマブによって抗血小板抗体産生B細胞が傷害されることで、抗血小板抗体量が低下し、血小板数が増加するものと考えられている。
本剤は特定物質に結合する抗体として免疫細胞から造られた(マウス-ヒトキメラ型)モノクローナル抗体であり、特定分子の情報伝達などを阻害することで抗腫瘍効果などをあらわす分子標的薬となる。
分子標的薬(リツキシマブ〔抗CD20モノクローナル抗体〕)の主な副作用や注意点
- インフュージョンリアクション(薬剤投与による
免疫 反応などによりおこる有害事象)- 発熱、悪寒、吐き気、頭痛、
疼痛 、そう痒、発疹 、血管浮腫 などがあらわれる場合がある - 末梢血液中にある
B細胞 が障害される際に産生・放出されるサイトカイン などが原因とされる
- 発熱、悪寒、吐き気、頭痛、
分子標的薬(リツキシマブ〔抗CD20モノクローナル抗体〕)の一般的な商品とその特徴
リツキサン
- リツキシマブ製剤
- 単剤投与の他、R-CHOP療法、RB療法などで使用する場合もある
- インフュージョンリアクション予防に対する前投与に関して
- 通常、本剤投与30分前に解熱鎮痛薬、抗
ヒスタミン 薬などの前投与を行う
- 通常、本剤投与30分前に解熱鎮痛薬、抗