ラモトリギン
興奮性神経伝達物質の放出を抑え神経の過剰な興奮を抑えることで、抗けいれん作用をあらわしたり気分の変動を抑える薬

ラモトリギンの解説

ラモトリギンの効果と作用機序

  • 興奮性神経伝達物質の放出を抑え神経の過剰な興奮を抑えることで、抗けいれん作用をあらわしたり気分の変動を抑える薬
    • てんかんは脳内神経の異常な興奮などによっておこるとされ、その症状はけいれんや体のこわばりなど多種多様となる
    • 脳内における神経細胞の興奮性シグナルとしてナトリウム(Na)イオンなどがある
    • 本剤は神経細胞の興奮性シグナルの通り道(Naチャネルなど)を阻害し、興奮性神経伝達物質の放出抑制作用などをあらわす

ラモトリギンの薬理作用

てんかんは脳内で神経が異常に興奮することなどによっておこり、その症状は全身のこわばりやけいれん、意識の消失、体の一部に症状があらわれるなど多種多様となる。

脳には神経細胞が集積していて、神経伝達物質などの作用により神経細胞が興奮しシグナルが伝わり神経伝達がおこる。神経の興奮伝達に関わる物質の一つにナトリウムイオン(Na+)があり興奮性のシグナルとして作用する。またカルシウムイオン(Ca2+)は興奮性のシグナルとして作用し、このシグナルが通り道であるCaチャネルから流入することで興奮性神経伝達物質のグルタミン酸が放出され神経興奮がおこる。

本剤はNa+の通り道であるNaチャネルの阻害作用、Caチャネルの阻害によるグルタミン酸の放出抑制作用により神経の過剰興奮及び伝達を抑え抗てんかん作用をあらわすとされる。本剤はてんかんの中でも、部分発作、強直間代発作、レノックスガストー症候群(幼児期に発症する難治性のてんかん)における全般発作に効果をあらわす他、双極性障害の治療などで使用する場合もある。また本剤はてんかんの治療薬としては2006年以降に承認された第二世代抗てんかん薬の一つとなる。

ラモトリギンの主な副作用や注意点

  • 精神神経系症状
    • 眠気、めまい、頭痛、不安・焦燥・興奮などがあらわれる場合がある
  • 消化器症状
    • 吐き気・嘔吐、下痢、食欲不振などがあらわれる場合がある
  • 皮膚症状
    • 発疹、脱毛などがあらわれる場合があり、非常に稀だが中毒性表皮壊死融解症皮膚粘膜眼症候群などの重篤な皮膚症状があらわれる場合もある
    • 発熱、眼充血、顔面の腫脹、口唇や陰部などのびらん水疱紅斑、咽頭痛、そう痒、全身倦怠感などがみられた場合は放置せず、速やかに医師や薬剤師に連絡する
  • 汎血球減少症無顆粒球症など
    • 頻度は非常に稀である
    • あおあざができやすい、歯ぐきや鼻の粘膜からの出血、突然の高熱、喉の痛み、寒気、動悸、息切れなどがみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • バルプロ酸ナトリウム製剤(主な商品名:デパケン、セレニカなど)を併用する場合の注意
    • 上記薬剤の影響により本剤の体内における代謝が阻害されるなどの可能性がある
    • 併用する場合は本剤を徐々に増やす(漸増)などの対処が必要な場合があり、医師の指示の下、適切に服用する

ラモトリギンの一般的な商品とその特徴

ラミクタール

  • 錠剤のタイプがチュアブル・ディスパーシブル錠と呼ばれる製剤
    • そのまま咀嚼して服用、錠剤を水とともに服用、錠剤を水に懸濁して服用と状況に応じて服用できる特徴をもつ