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強直性脊椎炎

強直性脊椎炎の基礎知識

強直性脊椎炎とは?

  • 背骨や骨盤を中心に関節や靭帯炎症がおき、腰痛が起きたり、関節が曲がらなくなる病気
    • 動くと痛みが和らぐことが特徴
    • 脊椎関節炎(SpA)という病気のうちの1つに分類される
    • 自己免疫疾患と考えられている
  • 日本では比較的まれな病気
    • 患者数は10万人当たり6~40人程度
    • 男女比は8:1程度と男性に多い
    • 40歳までに発症することが多い
  • 遺伝が関連していると言われている
    • 特にHLA(白血球の血液型)との関連が知られ、HLA-B27の人で罹患率が高い
       (HLA-B27が少ないことが日本人でこの病気が少ないことと関連していると考えられてる)

症状

  • 首から背中、腰や骨盤にかけての痛みやこわばり(動かしにくい感じ)
    • こわばりは朝のほうが強い
    • 通常の腰痛と違って、安静にしているより体を動かした方が痛みが楽になることが多い
    • 痛みは良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、3か月以上続き、常に感じるようになっていく
  • 炎症が数年〜数十年続くと、関節が硬くなり、背中を反らしたり曲げたりできなくなる
  • アキレス腱や足の裏にも痛みが出ることもある
    • アキレス腱や足の裏の痛みは朝に一番症状が強くしばらく歩きまわると軽減する
    • 痛みの程度は左右で違うことが多い
  • 目の炎症(虹彩炎毛様体炎)が起きて充血したり痛みが出ることがある
  • 病気に長い間かかっている人は大動脈弁逆流症合併しやすいことが知られている

検査・診断

  • 診断を確定する一つの検査はなく、症状や家族歴も重要になってくる
  • 血液検査:炎症が起こっていないかなどを調べる、HLA検査も有用
  • 画像検査:脊椎の状態を検査する
    • レントゲンX線写真)検査
    • CT検査
    • MRI検査:骨の様子だけでなく、炎症の程度も検査できる

治療

  • 薬物療法によって、痛みや炎症を抑える
    • NSAIDs:炎症を抑え痛みを止める
    • サラゾスルファピリジンの内服を行うこともある
    • 症状が強い場合
      ・点滴や皮下注射の生物学的製剤(インフリキシマブ、アダリムマブ)を使うこともある
  • 喫煙していると上記治療が弱まることが分かっているため、禁煙も大事
  • リハビリテーション
    • 薬物を使用するのと同時に、リハビリテーションも非常に大切
    • 毎日体操を行って、体の柔軟性を維持するよう努める
    • 関節の動きが制限され、日常生活に強い支障をきたすようになった場合には整形外科で手術が行われることもある

強直性脊椎炎の経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

  • 強直性脊椎炎では、首、背中、腰といった部位に痛みが出て、体を動かしづらくなります。特に朝起きた時に症状が強いのも特徴の一つです。
  • ご自身が強直性脊椎炎でないかと心配になった時、最初に受診するのはリウマチ科、膠原病科、整形外科の病院やクリニックが適しています。また、もしかかりつけの内科医師がすでにいるようであれば、そこから診療情報提供書(紹介状)をもらった上で受診することをお勧めします。強直性脊椎炎を診断する上で普段の様子やその他の病気の有無、検査結果はとても参考になりますし、診療情報提供書がないと基本的な検査を一からやり直すことになってしまうためです。
  • 強直性脊椎炎は、診断が難しい病気の一つです。血液検査、レントゲンMRIなどを行いますが、一回の検査や受診で診断がつくものではありません。症状や薬の効きを見ながら一つずつ他の病気を除外していき、疑わしければ採血でHLAと呼ばれる特殊な項目を確認して、全ての結果を合わせて総合的に診断します。
  • 通常のクリニックでは診断のための検査を全て行うことはできず、最終的には膠原病科のあるような総合病院、大学病院を受診する必要があります。ただし強直性脊椎炎の患者さんは日本で数千人とまれであり、これに似た症状の大半は実際には他の病気であるため、まずはお近くのクリニックでも良いので、リウマチ科、膠原病科、整形外科を受診して判断を仰ぐことをお勧めします。

この病気でお困りの方

  • 強直性脊椎炎は自己免疫疾患といって、免疫細胞(白血球)が過敏に活動し過ぎてしまうことが原因の病気です。したがって治療は、免疫細胞の働きを抑えるような内服薬、注射薬になります。
  • 患者さんによって効果的な薬が異なること、同じ薬でもどの程度の量で効果があるかが異なることから、通院しながら少しずつ薬を調整して、その人に合った処方を探します。多くの方にとって、治療のために入院が必要となる病気ではありませんが、逆に完治が望める病気でもありません(症状が取れたり、薬の内服が必要なくなったりすることはあります)ので、継続的に通院を続ける必要があります。
  • 強直性脊椎炎で入院が必要となるのは、強直性脊椎炎が重症化して関節の手術が必要になったような場合や、強直性脊椎炎に関連した他の病気(視力低下や間質性肺炎など)が悪化した場合です。そのようなことを事前に予防できるよう、通院しながら内服薬を調整し、症状と病気の勢いをコントロールしていくこととなります。
  • 膠原病科の医師の中でも、専門とする分野が分かれていることが多いです。強直性脊椎炎のような脊椎の病気を中心で診ている人もいれば、自己抗体関連疾患(関節リウマチ全身性エリテマトーデスなど)、血管炎(顕微鏡的多発血管炎など)もそれぞれが膠原病の専門分野の一つです。小さな病院では膠原病が専門の医師があまりいないため、必ずしもご自分の病気と医師の専門が合致するとは限りません。膠原病科のある総合病院であれば、それぞれの分野の専門家がいるでしょうから、医師の割り当ても適切に行われたり、院内で連携・相談しながら治療に当たってくれることが多いです。他の科の病気と比べると、適切に診療できる経験をもった医師が少ないのが膠原病でもありますが、長く付き合っていく病気であるため、信頼できる主治医を見つけることが大切です。




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