強直性脊椎炎での呼吸機能を改善する、8週間の呼吸筋トレーニング

強直性脊椎炎では背骨の可動性が悪くなり、呼吸機能が低下することがあります。今回、強直性脊椎炎の男性患者に、8週間の呼吸筋トレーニングを行い、その効果を検証しました。
◆呼吸筋トレーニングとは
呼吸筋トレーニングは、呼吸を行うときに働く筋肉に負荷をかけ、鍛える方法です。
今回は、そのなかでも空気を吸うときに働く筋肉(吸気筋)のエクササイズ(吸気トレーニング)についての論文を紹介します。
◆8週間の吸気トレーニングを行う群と対照群にランダムに分類
強直性脊椎炎の男性54名を、通常の運動療法と吸気筋トレーニングを行う群または通常の運動療法のみ行う群に振り分けました。
吸気筋トレーニングの効果を、肺活量、酸素と二酸化炭素の交換能力(換気能力)、最大酸素摂取量といった、呼吸機能の評価で検証しました。
◆吸気トレーニングを行うと呼吸機能は改善する
検証の結果、以下の通りになりました。
8週間の追跡後、グループ1の患者はグループ2の患者と比べて、胸郭の拡がりと最大酸素摂取量が
有意 に増大した(3.6±0.8cm vs 3.2±0.5cm、p=0.032;2.0±0.5l/分 vs 1.8±0.3l/分、p=0.033)。吸気筋トレーニングを行った患者はFVCに有意な改善が見られたが(82.7±5.1% vs 79.5±3.5%、p=0.014)、それ以外の肺活量指標に有意な差は見られなかった。
8週間の吸気トレーニングを行うと、
強直性脊椎炎では、脊柱の柔軟性を保ち呼吸機能を改善することが非常に重要です。その方法のひとつとして、呼吸筋トレーニングの効果について今後の検証が待たれます。
執筆者
Inspiratory muscle training improves aerobic capacity and pulmonary function in patients with ankylosing spondylitis: A randomized controlled study.
Clin Rehabil. 2015 Mar 25
[PMID: 25810425]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。