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ジフテリア

ジフテリアの基礎知識

ジフテリアとは?

  • ジフテリア菌の感染によって起こる急性の感染症
    • ジフテリア感染者の咳やくしゃみなどに含まれる細菌が、口やのどの粘膜に付着し増殖することにより炎症を起こす(飛沫感染
  • 予防接種がされるようになり、日本ではめったにみられない(年間発症者数は1例程度)
    • かつては年間8万人が感染して、そのうちの10%がなくなっていた
  • 感染症法で2類感染症に指定されており、医者は診断したら直ちに最寄りの保健所に届け出る必要がある

症状

  • 感染後、2-5日間の潜伏期間のあと症状が出る
  • 初期症状
    • 発熱
    • のどの痛み
    • 飲み込むときの違和感
    • だるさ
    • リンパ節の腫れ
    • 炎症でのどが腫れて気道が狭くなり、呼吸困難になることもある
  • 症状が進行すると鼻やのど(喉頭)に白い膜(偽膜という膜)ができ、症状が起こる
    • 鼻ジフテリア(鼻に偽膜ができる)
      ・血のついた鼻水
      ・鼻の穴、上唇がただれる
    • 喉頭ジフテリア(のどに偽膜ができる)
      ・犬の鳴き声のような咳
      ・呼吸困難
      ・さらに進行し、気管支まで及ぶと気道閉塞をきたし、死に至ることがある
  • ジフテリア菌の毒素が心臓の筋肉に炎症を起こすと(心筋炎)、不整脈心不全を招く
  • 神経麻痺が起きると、ものが二重に見えたり(複視)、顔のひきつれや手足のしびれ、息苦しさ(呼吸筋の麻痺による)などの症状がみられる

検査・診断

  • 病気がある部位からジフテリア菌の検出を行う
    • しかし、検査に時間がかかることや、検査で結果が出ないこともあることから、ジフテリアが強く疑われる場合には、検査の結果を待たずに治療へ進むことが多い

治療

  • 基本的な治療方針
    • ジフテリアは致死率が高いので、感染が疑われれば診断の確定を待たずに治療する必要がある
  • 主な治療
    • 症状があれば、入院した上でジフテリアの毒素を和らげる抗体を使用する(血清療法)
      ・ウマ由来の血清を用いるが、アレルギーの出現には最新の注意が必要である
    • ジフテリア菌に対して抗菌薬(ペニシリン、エリスロマイシン)を使用する
  • 予防、再発予防方法
    • 小児には予防接種を行う(通常、破傷風百日咳ワクチンを混合した、3種混合ワクチンを接種する)

ジフテリアに関連する治療薬

マクロライド系抗菌薬

  • 細菌のタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑えることで抗菌作用をあらわす薬
    • 細菌の生命維持や増殖にはタンパク質合成が必要となる
    • タンパク質合成はリボソームという器官で行われる
    • 本剤は細菌のリボソームでのタンパク質合成を阻害し細菌の増殖を抑える
  • マイコプラズマやクラミジアなどの菌に対しても高い抗菌作用をあらわす
  • 服用する際、比較的苦味を強く感じる場合がある
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ジフテリアの経過と病院探しのポイント

この病気かなと感じている方

ジフテリアではのどの痛みやだるさ、熱といった、いわゆるのどかぜのような症状がみられます。のどを含む気道に「偽膜」といって、白い膜のようなものが見えるようになることがあり、これが診断に結びつきやすい特徴です。しかしこれも必ず出現するとは限らず、予防接種が普及して以来ジフテリアの発症者が著しく減っている現在、適切な診断がつきづらい病気の一つです。上記のような症状に該当してご心配な方は耳鼻咽喉科あるいは小児科のクリニックの受診をお勧めします。


この病気でお困りの方

実際にジフテリアと診断された場合には、入院の上で治療を行うことになります。抗生物質抗菌薬)とジフテリア抗毒素の注射で治療します。ジフテリアは致死率5-10%の重症感染症ですが、医療機関によって治療可能な水準が異なるため、中小規模の病院であれば、診断がジフテリアだと判明した時点で(またはその疑いが生じた時点で)大病院へ転院の上で治療を行うこともあるでしょう。また感染症法に基づき、特定の感染症指定医療機関への入院が必要となる場合があります。





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