まんとるさいぼうりんぱしゅ
マントル細胞リンパ腫
B細胞リンパ腫の一つだが、比較的まれなタイプ
1人の医師がチェック 12回の改訂 最終更新: 2026.06.26

マントル細胞リンパ腫の基礎知識

POINT マントル細胞リンパ腫とは

マントル細胞リンパ腫は、主に中高年の男性に発症する比較的まれなB細胞リンパ腫です。多くは遺伝子異常によってサイクリンD1が過剰に作られることで発症し、診断時にはリンパ節、骨髄、脾臓、消化管などに広がっていることも少なくありません。リンパ節の腫れ、発熱、寝汗、体重減少、腹部膨満感などが主な症状です。診断には血液検査、画像検査、リンパ節生検、骨髄検査などを行います。治療は年齢や全身状態に応じて、抗CD20抗体を含む薬物療法、分子標的薬、造血幹細胞移植、CAR-T細胞療法などを検討します。マントル細胞リンパ腫は血液内科で治療を行います。

マントル細胞リンパ腫について

  • 悪性リンパ腫の一種
  • 非ホジキンリンパ腫に分類されるB細胞リンパ腫
  • リンパ節の「マントル帯」に由来するB細胞が腫瘍化する病気
  • 発症の明確な原因は不明
  • 多くは CCND1遺伝子 と IGH遺伝子 が関わる染色体転座 t(11;14) により、サイクリンD1が過剰発現すると考えられている
  • 中高年以降に多い
  • 男性に多い傾向がある
  • 非ホジキンリンパ腫全体の中では比較的まれな病型
  • 診断時には進行期で見つかることが多い
  • 再発しやすく、長期的な治療が必要になることがある
  • 一部で進行がゆっくりなタイプもあるが、多くは治療を要する

マントル細胞リンパ腫の症状

  • 首、わきの下、足の付け根などのリンパ節腫脹
  • 痛みのないリンパ節の腫れ
  • 発熱、寝汗、体重減少などのB症状
  • 倦怠感
  • 脾臓の腫れによる腹部膨満感、左上腹部の違和感
  • 骨髄浸潤による貧血易感染性、出血傾向
  • 消化管病変による腹痛、下痢、血便、便通異常など
  • 目立った症状がなく健診や内視鏡検査で偶然見つかることもある

マントル細胞リンパ腫の検査・診断

  • 問診・診察
    • リンパ節腫脹、発熱、寝汗、体重減少、腹部症状の確認
    • 全身のリンパ節、肝脾腫、全身状態の評価
  • 血液検査
    • 血算による貧血白血球数、血小板数の確認
    • LDH、可溶性IL-2受容体、肝腎機能などの確認
    • 治療前の全身状態や病勢評価
  • 画像検査
    • CT検査によるリンパ節腫大、脾腫、臓器病変の評価
    • PET-CTによる全身病変や活動性の評価
    • 病期分類と治療効果判定に用いる検査
  • 生検:診断を行う上で最も重要な検査
    • 腫れたリンパ節や病変組織を採取して病理診断を行う
    • 可能であればリンパ節生検で組織構造を確認
    • 針生検のみでは診断が不十分になることあり
  • 病理検査免疫染色)
    • CD20、CD5、サイクリンD1、SOX11などの確認
    • CD23陰性など、慢性リンパ性白血病などとの鑑別に有用
    • Ki-67により増殖能を評価
  • 遺伝子染色体検査
    • t(11;14)やCCND1関連異常の確認
    • TP53異常など予後や治療選択に関わる異常の評価を行うことがある
  • 骨髄検査
    • 骨髄浸潤の有無を確認
    • 病期分類や血球減少の原因評価に有用
  • 消化管検査
    • 消化器症状がある場合や病変評価が必要な場合に内視鏡検査を検討
    • 多発性リンパ腫性ポリポーシスとして見つかることあり
  • リスク評価
  • MIPI(Mantle Cell Lymphoma International Prognostic Index)などの予後指標を用いることあり
  • 年齢、全身状態、LDH、白血球数、病期、Ki-67などを総合評価

マントル細胞リンパ腫の治療法

  • 治療方針の基本
    • 年齢、全身状態、病期、症状、腫瘍量、臓器機能、再発リスクに応じて選択
    • 多くは診断時に進行期であり、全身治療が中心
    • 無症状で進行がゆっくりな一部の症例では経過観察を選ぶことがある
    • TP53異常や高Ki-67など高リスク例では治療方針を慎重に検討する
  • 化学免疫療法(抗がん剤と免疫療法薬を組み合わせた治療)
    • 抗CD20抗体であるリツキシマブを含む治療が基本のひとつ
    • R-CHOP、ベンダムスチン+リツキシマブなどを病状に応じて選択
    • 若年・全身状態良好例ではシタラビンを含む強力な治療を検討
    • 高齢者や合併症がある場合は毒性を抑えた治療を選択
  • 自家造血幹細胞移植
    • 若年または全身状態が良好な患者で、初回治療後の地固め療法として検討されることあり
    • すべての患者に行う治療ではなく、適応の見極めが重要
  • 維持療法
    • 初回治療後にリツキシマブ維持療法を行うことあり
    • 再発までの期間を延ばす目的の治療
  • 分子標的薬
    • BTK阻害薬が再発・難治例で重要な治療選択肢
    • イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブなどを状況に応じて使用
    • 近年は初回治療への組み込みも検討される領域
    • 副作用として出血、感染、不整脈などに注意
  • 免疫療法・細胞療法
    • 再発・難治例ではCAR-T細胞療法を検討することあり
    • 複数治療後の難治例で重要な選択肢
    • 治療施設や適応条件を踏まえた専門的判断
  • 放射線治療
    • 限局期や局所症状の緩和目的で検討
    • 病変が限られる場合や圧迫症状がある場合の選択肢
  • 支持療法
  • 感染予防、ワクチン、発熱時対応
  • 貧血血小板減少への対応
  • 腫瘍崩壊症候群への注意
  • 治療副作用、二次性悪性腫瘍、再発の長期フォロー

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