いっかせいぜんけんぼう(てぃーじーえー)
一過性全健忘(TGA)
一時的に新たな記憶ができなくなる状態。急に起こることが多く、通常は24時間以内に回復する
4人の医師がチェック 20回の改訂 最終更新: 2022.02.28

一過性全健忘(TGA)の基礎知識

POINT 一過性全健忘(TGA)とは

一時的に新たな記憶ができなくなる病気です。急に発症することが多く、通常は24時間以内に回復します。診断を確定するために、頭部CT検査・頭部MRI検査・脳波検査・脳血流検査などを行って他の病気がないことを調べます。1日以内には自然回復することが見込まれ、その時点では治療は必要ありませんが、全健忘を起こす原因が他にある場合(てんかん、外傷など)はその治療を行います。今日どのようにしていたか・今自分はここで何をしているかなどわからなくなるなどの症状が急に出た場合は医療機関にかかってください。その際は脳神経内科にかかることをおすすめします。

一過性全健忘(TGA)について

  • 一時的に急に新たな記憶ができなくなる状態。通常は24時間以内に回復する
  • 急に記憶ができなくなる
    • 外傷などによらず、一時的に急に新たな記憶ができなくなる
    • 発症前のことが思い出せないこともある
    • 通常は24時間以内に自然に回復するが、回復後も発症最中のことは思い出せないことが多い
  • メカニズムなど
    • 何らかの原因で海馬の機能が一時的に落ちることにより起きるとされているが、不明な点が多い
    • 身体的あるいは精神的ストレスがきっかけとなることもある
  • 診断は以下の診断基準に従って行うことが多い  1.発作中の情報が目撃者から得られる  2.発作中に明らかな前向健忘がある  3.意識障害はなく、物忘れ以外の高次脳機能障害はない  4.発作中に手足の麻痺のような神経学的異常はない  5.てんかんの兆候はない  6.発作は24時間以内に消失する  7.最近の頭部打撲てんかん発作はない

一過性全健忘(TGA)の症状

  • よくある症状
    • 急に、今日何をどのようにしていたか、今自分はここで何をしているのか、などということがわからなくなる
    • 自分の置かれている状況がわからなくなるため、混乱・興奮・不安が見られることが多い
    • 状況の説明を受けても覚えられないため同じ質問をすぐ繰り返す

一過性全健忘(TGA)の検査・診断

  • 頭部CTまたはMRI検査
    • 脳梗塞などの脳の原因による症状でないかどうかを確認する
  • 脳波検査
    • てんかんとの区別が必要な場合は脳波(脳が出している電気信号)の測定を行う
  • 脳血流検査(脳SPECT検査
    • 脳血流の低下している部位が存在していないかを確認する

一過性全健忘(TGA)の治療法

  • 1日以内に自然回復することが見込まれ、その時点では特に行うべき治療もない
  • 入院するかどうかは状況により判断する
  • てんかんが原因と思われる場合はその治療を行う
  • 虚血の関与があると思われる場合にはその治療を行う
  • 特に原因がないものであれば再発はまれである

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