円形脱毛症の治療について
円形脱毛症は脱毛箇所(脱毛斑)が少ない人であれば、自然
1. 円形脱毛症の治療法について:治療薬や冷却療法、紫外線治療など
毛が抜けてしまった部分(脱毛箇所、脱毛斑)が少ない人であれば、自然治癒が期待できます。しかし、脱毛斑が多かったりいつまでも治らない人には治療が検討されます。
【円形脱毛症の治療】
- 薬物治療
外用薬 (塗り薬)内服薬 (飲み薬)- 注射薬
- 冷却療法
- 紫外線療法
免疫 療法
治療法は脱毛斑(脱毛した部分)の大きさや、効果、副作用を見ながら最適な方法が選ばれます。脱毛斑が小さい人であれば、
それぞれの治療法について個別に説明していきます。
薬物治療
円形脱毛症の薬物治療には「外用薬(塗り薬)」「内服薬(飲み薬)」「注射薬」の3つがあります。
主に使われるのはステロイド薬です。円形脱毛症は、毛包(毛を作り出す器官)が
■外用薬(塗り薬)
脱毛箇所(脱毛斑)に薬を塗って発毛を促します。外用薬には次のものがあります。
【円形脱毛症の外用薬】
最初に使われることが多いのはステロイド薬ですが、ステロイド薬だけでは効果が不十分な人にはカルプロニウムやミノキシジルが併せて使われることがあります。
なお、ステロイドの外用薬の副作用については「こちらのページ」を参考にしてください。
■注射薬
注射用のステロイド薬を使って治療します。大量のステロイドを静脈から身体に入れる方法(
■内服薬(飲み薬)
脱毛箇所が急速に広がっている人や、塗り薬や注射の効果が乏しい人には「飲み薬」が検討されます。主な飲み薬には次のものがあります。
【円形脱毛症の内服薬】
- ステロイド薬
- 抗
ヒスタミン 薬 - セファランチン
- グリチロン
- オルミエント(バリシチニブ)
- リットフーロ(リトレシチニブ)
外用薬(塗り薬)や注射薬と同様に、内服薬でもステロイド薬が使われます。ステロイド薬の効果が乏しい人には、追加で抗ヒスタミン薬(花粉症や蕁麻疹の治療にも使われる薬)や、セファランチン、グリチロンなどの追加が検討されます。
また、関節リウマチ・アトピー性皮膚炎で使われるオルミエントやその類似薬のリットフーロが、広範囲・難治性の円形脱毛症に対する効果が確認され、治療薬として使うことが可能になりました。
冷却療法
冷却療法は頭皮を冷やして発毛を促す治療です。ドライアイスを頭皮にあてたり、冷却スプレーを使ったりして頭皮を冷やします。冷却療法単独での効果はまだ明らかになっていない部分があるので、他の治療と併せて行われることが多いです。冷却療法は比較的簡単に行える治療ですが、冷やし方を誤ると低温やけどを起こす恐れがあります。必ずお医者さんの指導のもとで行うようにしてください。
紫外線療法
紫外線療法は脱毛した部分に紫外線を当てて発毛を促す治療です。脱毛の範囲が広い人(全頭型や汎発型)や、薬物治療に反応が乏しい人を中心に行われます。紫外線療法の種類にはPUVA療法、エキシマライト、UVBといった方法があり、脱毛の程度や頭皮の状態などを参考にして適した方法が選ばれます。
局所免疫療法
局所免疫療法はかぶれを起こす特殊な薬品を脱毛部に塗る治療です。かぶれを利用して発毛をうながします。脱毛範囲が広く、6ヶ月以上症状が続いている人に検討されます。また、なかなか治らない人に対しても効果が期待できるうえ、子どもでも治療を受けることができます。
このように他の治療で改善が難しい人に有効な局所免疫療法ですが、注意点があります。まず、局所免疫療法は現時点(2019年)では保険が適用されません。つまり、自費で治療を受ける必要があり、費用が高くなります。また、薬の使い方や、副作用などに十分な注意が必要なので、専門的に治療できる施設でしか受けることができません。
2. 円形脱毛症の治療ガイドラインについて
ガイドラインは過去の治療結果や報告などをもとにして作成されているので、お医者さんはガイドラインの内容を踏まえることで、効果の高い治療を選びやすくなります。
3. 円形脱毛症の治療をしたい人が受診する科について:皮膚科、ときに内科
円形脱毛症の治療をしたい人は皮膚科を受診してください。皮膚のスペシャリストである皮膚科は頭皮の診察にも長けているので、適した検査や治療を受けられます。また、医療機関によっては脱毛症外来といった専門外来を設置していることもあるので、受診を検討してみてもよいです。また、円形脱毛症の人の中には
参考文献
・日本皮膚科学会円形脱毛症ガイドライン作成委員会, 日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン2017年版, 日皮会誌:127(13),2741-2762.
・Andrew G Messenger, Up To Date, Alopecia areata: Management